IQが高いことってそんなに大事なんですか?
その点についてはさまざまな議論があるわ。
少なくとも、IQだけで人生が決まるわけではないみたいよ。
IQが高いとお金もちになれる、ってわけじゃないんですか?
年収に関しては、親の経済的地位もIQと同じくらい重要という研究結果があるわ。
これはこれで残酷な話だけどね。
こんにちは、Yunです!
知能やIQについて調べるなかで「IQなんて意味ない」「IQが低くくても勉強できる人もいる」と感じていませんか?
そんなIQへの疑問をお持ちの方に、こちらの記事では先行研究をもとにIQと人生との関係や、IQをどうとらえたらいいかについて解説します!
この記事を読めば、IQスコアをどのように受け止めるべきかがわかります!
IQは信頼できるのか
IQは、知能検査が測定している範囲の知能については信頼できる結果を出していると考えられています。ただし「測定している範囲の知能については」という言い方は、IQが人のすべての知能・能力を評価していないことを意味しており、また、「知能指数」という名の数値においてこれは重大な欠陥です。
IQが学力・収入・健康と関係していることを示す研究は多くありますが、IQは人生の成功を決める決定的な要素ではないというのが現在の定説です。
つまり、知能の尺度としてのIQスコアには限界があり、そのことを正しく認識する必要があります。
IQが前提としている概念
IQは、知能には個々の技能にのみ対応する因子と、それら全般にかかわる中核的な因子があるという発想を前提にしています。
1904年、イギリスの心理学者チャールズ・スピアマンは知能の2因子説を唱え、あらゆる認知の基礎となる因子をg因子と名づけました。
以降、現在まで続くさまざまな知能検査はg因子の発想の影響を受けたなんらかの因子モデルを採用しています。知能検査によって導かれるIQスコアもまた、知能がいくつかの要素に分解可能なものであるという発想と、それら各要素にまたがる一般的な知能があるという発想に基づいています。
IQが測定する知能
現在成人用の知能検査として主流であるWAIS-Ⅳでは「言語理解」「知覚推理」「ワーキングメモリー」「処理速度」の4つの群指数とともに、それらの合計である全検査IQが算出されます。
言語理解、知覚推理などの群指数はいくつかの作業や質問によって測定されます。言い換えれば知能検査が提示できる知能は測定方法によって制限されており、これら以外の知能を測ることはできません。
IQでは測れない能力
人生やビジネスにおいて重要な能力でありながら、IQでは測れないものは以下のとおりです。
IQと人生の成功の関係
多くの研究者が、IQが人生の成功を決定することはないと考えています。これは「人生の成功」という言葉があいまいで広範であり、IQが示す知能だけでは到底カバーできないからです。「人生の成功」と言わずに「学業成績」「年収」「健康」などに限定すれば、IQは一定程度の相関関係を示すことができます。
人生の成功の種類
なにをもって人生の成功とするかは人それぞれです。以下に多くの人が考える成功の種類を挙げています。
IQと経済的地位の関係
IQスコアは社会経済的地位と強い相関関係であることが知られています。ただし、このことは単純にIQが高ければ多くのお金を稼げるということだけを意味するわけではありません。
2012年に発表されたイギリスの研究では、社会的地位の低い親のもとで育った子どもの知能の遺伝率が5%であることがわかりました(参考文献:英語)。
遺伝率が5%であるということは、知能の違いの95%が環境要因で説明できることを意味します。つまり、経済的な貧しさは先天的な資質よりも大きくIQスコアに影響する可能性が高いと言えます。
このことは、IQが生まれついての知能を表しきれないことを意味しています。
また同じ研究では、恵まれた生育環境の子どもの知能の遺伝率は50%であることがわかりました。これは経済力が高い親は子どもに知性の向上させる機会をより多く提供できるからと考えられています。
この結果もIQは後天的に与えられた機会によって向上することを意味しており、生まれついての知能の数値化とはなっていないと言えます。
IQと年収との関係
IQと年収は関係しますが、かならずしも高いIQが高い年収に結びつくとは言えません。
IQと年収については、多くの研究で正の相関関係があることが知られています。ただしその関係がどの程度の強い結びつきであるかについては、つねに議論の的になっています。
2007年に公開された論文では、ほとんどの研究でIQと年収のあいだに中程度の相関関係があることがわかりました(参考文献:英語)。この研究はIQが成功の予測因子としては重要だが決定的なものとは言えず、親の経済的地位と同程度の価値であると結論づけました。
IQと学業成績との関係
IQと学業は正の相関があることが知られています。
10万人以上のデータをサンプリングした結果、知能と学業成績の相関係数は0.54であるという計算になりました(参考文献:英語)。相関係数は1が最大であり、1に近いほど正の相関関係が強いことになります。
ただし知能と成績に相関があるということは、必ずしも高いIQであるほど高い成績になるということを意味しません。これはIQに限らずすべての統計結果に言えることですが、あくまで傾向であるため必ず例外が存在します。
しかも相関係数が0.5であるということは例外のばらつきもかなり大きいので、世間には「IQは低いけど成績が高い人」「IQは高いけど成績は低い人」がかなり大量に存在することになります。
それでも正の相関があることは多くの研究が証明しているので、人類全体では高いIQの人のほうが高い成績を取る傾向にあると言えます。
IQと幸福感や社会性
幸福感や社会性はIQよりもEQ(心の知能指数)が担当する領域です。IQはこれらに関する能力を測定する方法を持ちません。
EQは感情を認識・調節する能力であり、社会的な成功についてはIQと並んで重要な知能であると考えられています。
結局、IQは重要ではないのか
IQは、IQが測定している範囲内の知能については、信頼できると考えています。ただしそれが人生や仕事の成功にどの程度結びつくかと言われると、わかりません。それでも、IQが人生や仕事の成功において無視できるほど小さなレベルの要素ではないと感じています。
IQについてさまざまな研究がおこなわれていることは注目すべき点です。分析手法への批判はあるものの、学業や年収に対してくり返し中程度以上の相関を示している心理的要素はIQのほかにはありません。
EQや親の経済的地位など、人生の成功におけるほかの重要な要素も存在しつつも、IQもまた一定の重要性をもつと言えるでしょう。