
イディオムってどうやって覚えるのがいいんですか?

基本は単語学習と同じだけど、例文は必ず読んだほうがいいわね。
どんな感覚を表す表現なのかを、文脈から理解するのがおすすめよ。

昔「ペンパイナッポーアッポーペン」は歌で覚えましたね〜。

PPAPはピコ太郎のギャグで、別にイディオムではないのよ。
こんにちは、Yunです!
英語の勉強をするなかで「よく使うイディオムってどんなの?」「イディオムってどうやって覚えたらいいの?」と疑問に感じていませんか?
そんな疑問をお持ちの方に、こちらの記事では定番のイディオムとその学習方法について解説しています!

この記事を読めば定番イディオムの使い方や、日本語表現とのニュアンスの違いがわかります!

イディオムとはなにか
イディオム(Idiom)とは個々の単語の意味からは推測できない意味をもったフレーズのことです。
たとえば「Break your leg!」は「がんばれ!」という意味のイディオムですが、構成する個々の単語の意味はbreak = 壊す、your = あなたの、leg = 脚、であり、どこにも「がんばれ」という意味はありません。これらをひとまとめに使ったときにはじめて「がんばれ」の意味が生まれます。 まとまりに意味があるので、単語や語順を変えることはふつうできません。
これらの点は、日本語の「慣用句」に近いと言えます。「犬猿の仲」「頭が固い」「一石二鳥」などはどれも個々の単語よりも語のまとまりとして意味をもち、内部の語や語順を変更することはできません。
イディオムという言葉はギリシャ語で「自分自身の」「プライベートの」を意味するイディオス(idios)や「独特な言い回し」を意味する「イディオーマ(idioma)」という単語に由来しています。慣用句(= イディオム)はその意味が通じるローカルな空間で用いるものであることは、このギリシャ語のイディオス・イディオーマの意味とつながっています。
イディオムの種類
1. 純粋なイディオム(Pure Idiom)
「Pure Idiom」はもっとも一般的なイディオムのかたちです。いわゆる慣用句型であり、個々の単語の意味が直接意味しない内容を、語のまとまりによって表します。たとえば「under the weather」は気分が悪いことを意味する表現ですが、それぞれの単語そのものは「気分」「悪い」などを意味しません。
2.二項イディオム(Binomial Idiom)
「Binomial Idiom」の二項は「and」や「or」などで結び付けられ、対義語、同義語、または韻の似た語などを組み合わせた慣用句として用いられます。
細かい説明よりも、以下の例を見たほうが早いかもしれません。
部分的なイディオム(Partial Idiom)
これは本来的にはイディオムではなく、イディオムの一部です。イディオムの一部であったものが慣用的に用いられ続けた結果、それもまたイディオムになったものをさします。
「when in Rome(ローマにいるときは)」と言えば、「do as the Romans do(ローマ人のように振るまえ)」が続くのは明白であり、すべてを言わなくても通じます。これは日本語で「郷に従え」と言うだけで「郷に入っては郷に従え」の意味を表せることと同じです。
前置詞イディオム(Prepositional Idiom)
「Prepositional Idiom」は動詞と前置詞(または副詞、前置詞 + 副詞)を組み合わせたイディオムであり、つまり句動詞のことです。
句動詞は(他動詞ならば)そのあとに目的語をとることができる点でここで紹介したほかのイディオムとは性質が異なります。
しかし、広義ではイディオムの一部と考えることができ、英語学習や単語帳などでもイディオムと句動詞を区別していないことはよくあります。
イディオムと句動詞の違い
句動詞(Phrasal Verb)とは「動詞 + 前置詞(または副詞、前置詞 + 副詞)」で構成された語のまとまりのことです。句動詞も個々の単語の意味から離れた内容を表すことがあります。
句動詞は動詞を含むため、動作・状態・存在などを表すはたらきをします。
前述のように、句動詞は動詞を中心とする点で慣用句(イディオム)とイコールではありません。ただし、線引きが困難なものもあり、あまり細かくイディオムと句動詞に区別をつける必要も薄いように感じられます。
イディオムと熟語の違い
「熟語」には「慣用によって、特定の意味に用いられるようになった語句。慣用句。成句。イディオム」(デジタル大辞泉より)という意味があるので、イディオムと熟語は同義といえます。
熟語というと日本語では「二字熟語」「四字熟語」など漢字を合わせたもの、という意味でつかうことが多いですが、「英熟語」というと英単語を組み合わせたひとまとまりのフレーズ(つまりイディオム)の意味で用います。
イディオムと構文の違い
構文(Syntax)とは「文の意味を左右する単語の組み合わせ方」をさします。音韻・語義などともに文法を構成する一要素であり、その点で「慣用句」であるイディオムとは別物です。
つまり、イディオムは文法(形態・音韻・語義・構文)によってつくられているのであり、イディオムと構文は同じものではありません。
上記を理解してもらったうえで、この節では受験参考書などでよくある英語の「重要構文集」にイディオムが含まれていることがある点について解説します。
説明の前に、資格試験などで覚えることの多い、いわゆる「重要構文」の例を確認してください。
構文とはフレーズ・節・文の意味を決める要素であり、そこでは単語の組み合わせ方が重要になります。
中学、高校で習う「SV」「SVO」なども英語の構文であり、「S」「V」「O」「C」それぞれの配置によって文の意味は変化します。
構文とイディオムは境い目があいまいなものもあります。
「SVO」「If I were ~」などをイディオムと呼ぶことはありませんが、「talking of」「frankly speaking」などは複数の語が組み合わさってひとまとまりの意味をつくっている点でイディオムに属します。
イディオムの覚え方
基本は単語の覚え方と同じ
イディオムは複数の単語が組み合わさってひとまとまりの意味をもったものです。
そのため、イディオムの覚え方は単語を覚えるときと似ています。つまり、イディオムを覚えるときは基本的にひとまとまりの語句として単語のように覚えます。
単語の覚え方とイディオムの覚え方の違い
単語とイディオムの違いは、イディオムは使える場面が複雑に限定されているものが多いことです。
たとえば「bark up the wrong tree」は「見当違い」「お門違い」などと訳され、誤った人物に対して追及したりなんらかの思い込みをすることを言います。このイディオムを使う場面は「bark(= 吠える)」「tree(= 木)」それぞれの単語よりもはるかに限定されていて、イディオムの意味にちょうど合っている状況でないと聞き手に違和感を与えることになります。
イディオムを覚えるときは、例文をつかって学習する
イディオムを覚えるときは、使える場面・状況ごと覚える必要があります。そのためには、例文ごと覚えてしまうのがおすすめです。
イディオムは本来ほかの言語に翻訳するのが難しいものが多く、「dog = 犬」のように英語と日本語がニュアンスまで一致するものはあまりありません。
前述の「bark up the wrong tree」であれば、「お門違い」「見当違い」に近いのですが、そこには「無駄な努力をしてしまう」「間違った選択をする」のニュアンスも含まれています。このようなイディオムのもつニュアンスまで理解するためにも、場面・状況を説明した例文ごと覚えてしまうことを推奨しています。
ただし、イディオムの例文は状況説明まで含まれるので長くなりがちで、例文を丸ごと覚えるのが難しいことも多々あります。「こんなに長い例文は覚えられない!」というときも、例文をつかって学習することは欠かさないようにしましょう。

例文学習はふつうの英単語学習でも重要ですが、イディオムを覚える際にはより重要性が高いといえます。

日常会話で頻出のイディオム12選
As cold as stone
意味:冷徹だ
直訳:石のように冷たい
感覚的には日本語の「氷のように冷たい」「血の通わない」のような表現と似ていて、相手に人間味を感じられないときに使います。
けっこうキツめな表現なので日常的に口にするというよりは、本やドラマなどで見聞きするタイプの表現です。
例文 | 訳 |
---|---|
He looked at me with eyes as cold as stone, and I realized that he had no intention of helping me. | 彼は冷たい目で私を見ていたので、私は彼が私を助けるつもりがないことに気づきました。 |
似た表現に「as cool as a cucumber」というものがあります。意味は「落ち着いている」、直訳は「キュウリのように落ち着いている」です。こちらは「キュウリのように」というのがかわいらしい言い方になっていて、ネガティブなニュアンスはありません。
例文 | 訳 |
---|---|
I was petrified to take the stage, but Alice was as cool as a cucumber. | 私はステージに上がるのが怖かったですが、アリスは落ち着きはらっていた。 |

キュウリみたいだねって言われてもどんな感情になったらいいかわからない……。
Bark up the wrong tree
意味:見当違い、お門違い、判断を誤る
直訳:間違った木に吠える
このイディオムはアライグマ狩りに犬を使っていた時代に、犬が獲物のいない木をぐるりと囲って大声で吠えていたことに由来しています。
日本語の「見当違い」に近い言葉ですが、やや異なるのが「無駄な努力をしている」というニュアンスもこもっている点です。「bark up」の大声で吠える感じが、徒労感のニュアンスにつながっているのでしょう。
例文 | 訳 |
---|---|
If you think I’ll help you cheat, you’re definitely barking up the wrong tree! | 私が不正行為を手伝うと思っているなら、君はまったく見当違いをしている。 |
Break a leg
意味:がんばれ
直訳:脚を折れ
これはスポーツ選手や、ステージパフォーマンスの演者などに向けてよく使うイディオムです。「Break a leg!」の言い換えは「Good luck!」です。これから試合や本番に向かう人に対して応援の気持ちを込めて使います。
由来は諸説ありますが、「脚が折れるほどがんばれ」の意味で解釈されることが多く、たんに「Good luck!」と言うよりも全力を発揮することを期待している感じがあります。
例文 | 訳 |
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Let’s all go and do our best. Break a leg! | みんなで全力を尽くしましょう。がんばろう! |
Every cloud has a silver lining
意味:最悪の状況のなかにも希望はある
直訳:すべての雲に銀色の裏地がある
これはイディオムというよりはことわざですが、会話場面でよく使うものなので紹介します。
どんよりとした雲も、見えない裏側は太陽に照らされて銀色に輝いていることに由来しており、どんな逆境のなかにも希望の光は隠れていることをさして用いられます。
表現もおしゃれですし、使える場面もかなりありそうなフレーズですが、日本語にはぴったりくる慣用句はありません。比較的近いのは「ピンチはチャンス」ですが、これは「逆境はむしろ自分の成功を導く好機となる」という言葉なので、「Every cloud ~」の「裏側には見えないものがある」というニュアンスとはズレがあります。
例文 | 訳 |
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Sure, you took the wrong trail, but you got to see a beautiful waterfall. Every cloud has a silver lining! | たしかに道を間違えましたが、美しい滝を見ることがでた。悪いことの裏には良いことがあるよ。 |
ちなみに「silver lining」単体で用いることもあり、こちらはイディオム感が強くなります。
例文 | 訳 |
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Always be optimistic and look for the silver-lining. | いつだって前向きで、ものごとの良い側面を見るようにしよう。 |
Go cold turkey
意味:(悪い)習慣を完全にやめる
直訳:冷たい七面鳥になる
この表現における「習慣」とは酒・タバコ・ギャンブル・ドラッグなど世間一般でよくないものと認識されているものをさします。
日本よりも麻薬が浸透しているアメリカでは、前後になんの文脈もなく用いた場合には「ドラッグをやめる」ことがイメージされやすいです。ただし、前後の文脈しだいではもっとささいな悪癖のことも表します。
なぜ「冷たい七面鳥になる」ことが悪癖をやめることなのか、という理由は残念ながら諸説あり完全にはわかっていません。有力な説は「talk turkey(率直に話す)」という別のイディオムから派生し、「まっすぐ・すぐに行動に移すこと」を「すぐさま悪癖をやめる」という意味に変換した表現が生まれた、というものです。
「cold turkey」は「悪癖をきっぱり絶った状態」をさしますが、悪癖そのものを意味することもあります。そのため「quite cold turkey」も同じく悪い習慣をやめることを意味します。
例文 | 訳 |
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I had to stop smoking, so I went cold turkey. | 喫煙をやめなければならなかったので、きっぱり絶った。 |
Hit the books
意味:勉強する、本を読む
直訳:本をたたく、本にぶつかる
日本語でも知りたいことを誰かに聞きにいくことを「○○さんに当たってみる」といいますが、この「当たる」の感覚が「hit」の感覚です。
「hit the ○○」は「hit the air(放映する)」「hit the floor(ダンスをする)」などさまざまあり、このイディオムもそのひとつです。
「hit the books」と言うときはふつう真剣に取り組むことまでニュアンスに含めます。
例文 | 訳 |
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You better hit the books if you want to pass your exam on Friday. | 金曜日の試験に合格したければ、ちゃんと勉強したほうがいい。 |
Hit the sack
意味:寝る
直訳:寝袋にあたる
上記「Hit the books」と同じく「hit the ○○」系イディオムの仲間です。また、そのなかでも比較的よく見聞きするものでもあります。
言い換えは「go to bed」「go to sleep」ですが、それよりもやや乱暴な言い方になっています。
例文 | 訳 |
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I have to get up early for work tomorrow, so I think I’d better hit the sack. | 明日は仕事で早起きしなければならないから、そろそろ寝るとしよう。 |
Out of the woods
意味:困難から脱して
直訳:森を抜けて
このイディオムが表す感覚は、日本語でも「暗闇を抜ける」「長いトンネルから出たような」などの比喩表現によって表すことができます。
ここでの森とは暗い・不安を呼び起こす・危険な場所であり、そこから完全に抜け出すことが「out of the woods」です。
「完全には解決していない」という否定文で用いられることも多い表現です。
例文 | 訳 |
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Her surgery went as well as we could have hoped, but she’s not out of the woods yet. | 彼女の手術は私たちが期待していた通りにうまくいきましたが、彼女はまだ危険な状態です。 |
Rain or shine
意味:雨でも晴れでも
直訳:雨でも晴れでも
このイディオムは単語の直訳でそのまま伝わるめずらしいイディオムです。
日本語の「天候にかからわらず」「雨天決行」に近い言葉ですが、「rain or shine」の語呂の良さは日本語で再現することはできません。
例文 | 訳 |
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Pack a poncho because the outdoor concert is happening rain or shine. | 屋外コンサートは雨の場合も開催されるため、ポンチョを用意してください。 |
Sit on the fence
意味:どっちつかずでいる、どちらも選ばずにいる
直訳:柵の上に座る
これは「どちらの側にもつかずにいること」を表すイディオムです。2つの陣地の間にある柵にまたがって座っているイメージの言葉で、どちらの側にも属しきれない優柔不断さをあらわしています。
「中立でいる」と訳されることもありますが、日本語の「中立でいる」が意志をもってそう選択している意味を含むのに対して、「sit on the fence」は態度がはっきりしないというネガティブなニュアンスが強く表れます。
例文 | 訳 |
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You can’t sit on the fence any longer—you need to choose who of these two we need to fire. | もうあいまいな態度ではいられない。この2人のうち、どちらをクビにするか選ばなければならない。 |
Under the sun
意味:あらゆる場所
直訳:太陽の下
「under the sun」の感覚は日本語の「天下」にあたります。天下が文字通り「天の下」であり世の中すべてをさすように、「under the sun」も地上のあらゆる場所の意味で用いられます。
例文 | 訳 |
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I looked everywhere under the sun for you! Where have you been? | 私はあちこちあなたを探しまわったんだ! どこにいたの? |
Up in the air
意味:未決定で、未解決で
直訳:宙に浮いて
このイディオムは計画や課題解決が進行していない状態をあらわします。直訳の「宙に浮いて」は日本語でもものごとがそのままになっていることを表すので、「Up in the air」は日本語にほぼ100%置き換えられる少数派のイディオムです。
例文 | 訳 |
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Because the whole town protested plans to build a new shopping center, that proposal is now up in the air. | 新しいショッピングセンターの建設計画に町全体が反対したため、その計画は現在宙に浮いている。 |
