
子どもと一緒につくれて、なにか実用的なものってありますか?

お風呂に入れて楽しめるバスソルト作りはどう?
健康にも美容にもいいわよ。

バスソルト作り、楽しそう!
子どものお肌もつるつるになりますね!

まあ、子どもはお肌つるつるなんだけどね。
こんにちは、Yunです!
子どもと手作りできるものについて調べるなかで「どうせなら大人も子どもも楽しめるものを作りたい」と感じていませんか?
そうお考えの方に、こちらの記事ではバスソルトづくりの方法や、おすすめのバスソルトのアレンジ方法、バスソルトの効果のしくみについて紹介しています!

この記事を読めばアロマバスソルトの作り方とその効果のしくみがわかります!

子どもとできるバスソルト作りに必要なもの
バスソルトは極論を言えば塩だけでもつくれます。でも、せっかくならお風呂に入れたときに香りがしてふだんのお湯と違う感じをだしたいですよね。
今回はバスソルトとして定番の、精油を使用したアロマバスソルトのつくり方を紹介します。
基本レシピに必要なもの(5回分)
- 天然塩またはエプソムソルト…200g
- 精油(エッセンシャルオイル)…20 ~ 25滴(0.10 ~ 0.13ml)
- キャリアオイル(ホホバオイルまたはアーモンドオイルなどの植物油)…10ml
- 混ぜ棒(スプーンで可)
- 保存容器
補足
①の天然塩またはエプソムソルトは、特にこだわりがなければご自宅の食塩でも温浴効果を得ることができます。
③の無水エタノールで代用できます。また、特にこだわりがなければご自宅の除菌用アルコールでも安全に代用できます。

自宅で実験をすることはSTEM教育の第一歩よ!
バスソルトの作り方
1. 精油を薄める
容器にキャリアオイルを入れ、その中に精油を入れてスプーンなどで混ぜます。
つくる量をアレンジする場合も、精油はバスソルト1回分につき5滴までとなるようにしましょう。量が多すぎると肌が炎症を起こすことがあります。また、基材(精油を溶かすキャリアオイルや無水エタノールなど)の量は、精油の10倍量となるようにしてください。

精油をつかう効果や注意点については、記事の後半でくわしく解説しています!
2. 塩を入れて混ぜる
1. の容器に塩を入れて混ぜます。
3. 保存容器に移す
ジップロックなど空気に触れない容器に入れて保存しましょう。
基材にアルコールや無水エタノールを使用している場合、揮発性が高いため保存状態によっては希釈効果がなくなって、精油を直接塩に混ぜたのと同じことになってしまいます。
つくったバスソルトはなるべく早めに使い切ってしまいましょう。
ちなみにアレンジでドライハーブを混ぜることもできます。ドライハーブは香りが1年程度もつと言われており、精油のバスソルトよりも長期保存に適しています。

混ぜるだけなので、とってもかんたんですね!
バスソルトの効能

温熱効果・温浴効果
バスソルトには血行を促進し、体が温まりやすくなる効果があります。また、バスソルトに含まれるミネラルが皮膚をコーティングして、お風呂上がりも体を温まった状態でキープしてくれます。
デトックス効果
血流が良くなることでデトックス効果も期待できます。
リラックス効果
バスソルトに含まれる精油(アロマ)の成分により、心身をリラックスさせる効果が生まれます。
バスソルトの効果の原理

ところで、バスソルトって本当に効果あるんですか?

効果はあるわ。ただ、有効と言われているもののうち諸説あるものもいくつかあるわ。
温熱効果の原因は塩が皮脂のたんぱく質を溶かすこと
ここでいう温熱効果とは入浴によって体が温まりやすくなることと、入浴後の保温時間が長くなることをさしています。
塩を湯船に入れると、塩が皮膚にあるたんぱく質を溶かし、結合して塩被膜となります。皮膚を溶かすというとなにか怖い感じもしますが、ごく表面の現象なので問題ありません。むしろこれがコーティングとなり、体から熱が逃げることを防ぎます。これがバスソルトによる温熱効果の原因です。
これは塩化ナトリウムを含んでいれば起こることなので、バスソルトの成分が食塩でも問題ありません。温泉でいえば塩化ナトリウムを多く含む塩化物泉という種類の泉質も、同様の効果があります。
参考文献:花王「スキンケアと界面化学」
エプソムソルトの温熱効果はウソ? 根拠がない?
エプソムソルトの温熱効果に関しては科学的根拠を示す文献が見つかりませんでした。
エプソムソルトは皮膚に膜をつくることで温熱効果(保温効果、温浴効果)を生む、という記事は多く見かけますがその根拠をくわしく示しているものが見つかりません。
エプソムソルトが含むマグネシウムイオンはカルボン酸と結合する性質があります。カルボン酸は皮膚にも含まれるため、マグネシウムイオンとたんぱく質の結合が皮膚に膜をつくるということなのかもしれません。
しかし、Web上の記事の多くは「海水に含まれる塩類に温浴効果がある」=「エプソムソルトにも温浴効果がある」と単純解釈しているようにも感じられます。筆者が調べた限り、海水の温浴効果はナトリウムによる効果が主となっています。
硫酸マグネシウムが健康にプラスの影響を与えることは根拠がありますが、温浴効果については疑わしい部分もあります。
参考文献:カルボン酸とマグネシウムイオンの結合
岐阜薬科大学「健康な体に欠かせないマグネシウムの働き」
北海道大など「人工海水温浴における塩類濃度が心電図に与える影響」
北海道大など「海水塩類濃度が温浴時の体温変動に及ぼす影響」
塩の浸透圧と細胞膜の半透性

溶質(とけているもの = 塩)は通さないけれど溶媒(とかしているもの = 水)は通す性質を半透性といいます。ヒトの細胞の外壁である細胞膜は半透性をもち、このような膜を半透膜と呼びます。
真水と塩水を半透膜で仕切ると、水分子が塩水のほうに引っぱられ、塩水の体積が増します。このように半透膜を通して水が移動することを浸透といい、浸透しようとする力を浸透圧といいます。
仕切りが半透膜でなければ濃度の高い塩水が真水側に流れますが、半透膜は塩分を通さないので塩水のかさが高くなった状態で平衡が保たれることになります。

浸透圧の変化による血行促進
浸透圧の変化により細胞内液の水分が外にでることは、循環血液量を増加させます。これは皮膚が刺激されることで自律神経が血管を拡張させるからです。血液の循環量が増えるということは体のすみずみまで血液が回りやすくなるため、指先なども含めた全身の血行促進効果を生み出します。
参考文献:信州大学医学部附属加齢適応研究センター「体液浸透圧変化の循環調節に及ぼす影響」
デトックスの原理も血行促進による部分が大きい
バスソルトによるデトックス効果については理論上ありえそうなものと、そうでないものが混ざっている印象です。
まず、さら湯よりもデトックス効果が高まることそのものは、ありえると考えています。塩被膜と血行促進によって発汗がうながされるので、大量に汗をかく = ふだんよりも体内成分を排出する、ということにつながります。
一部のWeb記事で見られる「塩が古い角質を除去する」という効果は、残念ながらなさそうです。塩がたんぱく質と結合するという点が「古い角質を除去」という発想につながった迷信かもしれません。
参考文献:
ダイヤモンドオンライン「テレビでも話題!サウナ教授・加藤容崇先生にきく「塩サウナ」で肌がつるつるになる理由」
美肌・保湿効果は新しい皮脂が生まれるから
バスソルトを使うことで肌がつるつるになったと感じたとしたら、それは大量発汗によって新たな皮脂がつくられたことによるものと考えられます。
「塩の微細な粒子が普段浸透しない毛穴に入ることでプラスの効果を生む」という解説記事も見受けられましたが、これは疑問です。塩の粒子は水分子やボディソープの泡よりも大きいので、塩が入れるところには水も入ります。
バスソルトによる血圧低下は部分的に根拠あり
ウェブサイトによってはバスソルトによって血圧が下がるという説明をしているところもありますが、これはバスソルトの原料がなにを使っているかに左右されそうです。
血圧低下に効果がある主なミネラル成分はマグネシウムです。エプソムソルトは硫酸マグネシウムの別名であり、皮膚からの摂取でも効果が確認されています。つまり、エプソムソルトを使用したバスソルトであれば血圧低下にも効果があると考えられます(参考文献(英語):バーミンガム大)。
ただしこちらの実験では1回の入浴で500〜600gのエプソムソルトを使用しており、一般的な使用量の約10倍を使用しての結果となっていることには注意が必要です。一般的な使用量でも血中マグネシウム量が有意に上昇するかは不明です。
天然塩をもとにしたバスソルトの場合は、主成分は塩化ナトリウムなのでエプソムソルトほどのマグネシウムの含有量はありません。一般的な使用量の場合、血圧を低下させるほどの効果は生まれにくいと考えられます。
バスソルトによってお湯の浸透圧が上昇し、その結果体から水分が抜けやすくなり、脱水状態に近づきます。
脱水状態には種類があり、血圧が低下するものもそうでないものもあります。入浴によって汗をかいた際の脱水は高張性脱水(水欠乏性脱水)といい、血圧を低下させるものではありません。(とはいえ、一般に脱水症状と呼ばれるほどの状態になるべきではないので、入浴時間はほどほどにし、喉の渇きを感じたら水分を補給しましょう。)
参考文献(レバウェル看護)
有効成分を本当に皮膚から吸収できる? バスソルトの効果はウソ?
そもそも、本当に皮膚からミネラルを吸収することができるのでしょうか。バスソルトの効果はオカルトであり、喧伝されている各種効果も単なるプラシーボ効果なのでしょうか。
バスソルトに含まれる塩類が皮膚から吸収できることはこれまで何度も確認されています。天然塩・エプソムソルトどちらが含むミネラルも皮膚から有意に吸収できています。
ただし、これらの検証には「バスソルト」そのものが用いられているわけではありません。理論上効果があるといっても、ある特定の商品の効果を保証したものではないことに注意してください。
また、こちらの実験で有意な効果が出た海水塩類濃度7%というのは、一般の湯船(180L)であれば約12Lの塩類を投入しなければならず、バスソルトとしては現実的ではありません。同実験では濃度1%群とさら湯との温浴効果の差について有意な結果を得られていません。
バスソルトによる効果は体感・実感できるものは確実にありつつも、健康上どの程度プラスにはたらくかは依然として不明な部分があります。
参考文献:
東京大など「酸性温浴における硫酸イオンの皮膚透過性」
北海道大など「人工海水温浴における塩類濃度が心電図に与える影響」
北海道大など「海水塩類濃度が温浴時の体温変動に及ぼす影響」
鹿児島大など「高濃度塩類泉 (Na, Ca, Mg塩化物, 硫酸塩) 入浴の深部体温と循環動態への効果」
自家製バスソルトのアレンジ方法
- 塩の種類を変える
- 精油の種類を変える
- ドライハーブを混ぜて、香りを豊かにする
- 重曹を混ぜて、美肌効果を足す
バスソルトにおすすめの塩
天然塩
天然塩という名称は実はあいまいで、精製・加工されていない塩全般の名称となっています。粗塩・自然塩ともいいます。
実際には加工されていなければ海塩・湖塩・岩塩すべて天然塩なのですが、ここでは一般的に天然塩として販売されやすいただの塩化ナトリウムや食塩よりもミネラルが豊富な海塩のこととして解説します。
海塩とは、海水からつくられた塩のことです。日本は海に囲まれた島国なので、天然塩として流通しているものは海塩がもっとも多くなっています。
また、天然塩はミネラル(無機質)が豊富です。塩化ナトリウムは言うまでもなく他成分を含みませんし、食塩もふつう塩化ナトリウム99%です。それに対して天然塩は、海塩であれば海水に含まれる鉄、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどのミネラルを含んでいます。
エプソムソルト

エプソムソルトは「ソルト」といいますが実際は硫酸マグネシウムです。硫酸と聞くとこわい印象を受けるかもしれませんが、天然温泉の一種に硫酸塩泉という泉質があり、昔から日本人の湯生活と硫酸はなじみ深いものとなっています。ちなみに硫酸塩泉の硫酸塩(サルフェート)とは硫酸イオンを含む無機化合物の総称で、エプソムソルト(硫酸マグネシウム)もそのひとつです。
市販されている入浴剤の有効成分としても硫酸マグネシウムが含まれていることが多く、血行を促進して体を温める効果があります。冬の風呂上がりに体が冷えやすい時期に特におすすめです。
ちなみに名称の「エプソム」はイギリスの地名で、中世にこのエプソムで硫酸マグネシウムが発見されたことが由来となっています。
岩塩

岩塩は鉱物として採掘される塩です。ふだん接することの多い海塩と異なり、数百万年から数億年かけてつくられた塩の結晶であり、ほかの塩よりもカリウムやマグネシウムなどのミネラルを豊富に含みます。また、食塩と比較して結晶が大きくゴツゴツしているのも特徴です。
岩塩はピンク、黒、白色(透明)など色にも種類があります。ピンク色のものは銅や鉄、黒色のものは酸化鉄や硫黄の成分が豊富に含まれています。
岩塩は世界中で採掘されますが、アジアで特に有名な岩塩はヒマラヤ岩塩です。ヒマラヤ山脈は大昔海底にあったことから、陸地になった今岩塩がとれるようになりました。
ピンクソルト

ピンクソルトは上記で説明した岩塩のうち、ピンク色のものをいいます。バスソルト市場で岩塩のものを購入した場合、もっともポピュラーなのがピンクソルトです。これは岩塩のうちピンクソルトの採取量がもっとも多く安価で販売しやすいことが理由のひとつです。
ピンクソルトのピンク色は着色されているのではなく、含有されている鉄分の色です。ブラックソルトと異なり硫黄が含まれていないので、香りが控えめになっています。
死海の塩

死海はイスラエルやヨルダンに接する塩湖で、その塩はバスソルトに使われるものとしてとてもメジャーです。
湖でありながら海よりも塩類が多く含まれており、天然塩のなかでは湖塩といえば死海の塩といわれるほど人気があります。
バスソルトにおすすめの精油(アロマオイル)
アロマオイルを風呂に入れるときの注意点
精油とフレグランスオイルの違い
アロマオイルは一般的に香りを楽しむためのオイル全般の呼称として使われており、厳密な定義は存在しません。ただし、アロマテラピーの世界では多くの場合、精油(エッセンシャルオイル)とアロマオイルを区別しており、精油は植物成分100%、アロマオイルは精油に人工香料などを合成したものとして呼び分けています。合成香料はフレグランスオイルとも呼ばれます。

ややこしいんですね。
この記事ではアロマオイル = 精油(エッセンシャルオイル)としてあつかっています。重要なのは植物成分が100%の製品である点です。
合成香料は香りを楽しむためにつくられたもので、精油で得られるアロマテラピー的な効果はないといわれています。また、皮膚に直接つけることを想定されていないものもあるので、沐浴用途の使用はおすすめしません。
0~2歳児が入浴にアロマオイルを使うことは推奨されていない
精油は植物成分が濃縮されており、乳幼児にとっては刺激が強すぎることもあります。0~2歳の子どもは精油を皮膚に直接つけることは避けたほうがよいとされています。
皮膚刺激の強いものは薄めてつかう
精油は、大人であっても精油を直接つけたときにかゆみ・炎症が起きる場合があります。
精油を薄める場合はホホバオイルやアーモンドオイルなどのキャリアオイル(植物油)で薄めるか、無水エタノールで希釈するのが一般的です。どちらの場合も精油の成分が1%程度に薄まるようにします。
「お湯に混ぜるんだから、薄まるんじゃないの?」と感じられると思いますが、精油は油溶性のため水には溶けず、そのままだと水面に溜まって結果的に直接皮膚に触れることになります。

油溶性だから一度油に入れて薄めるんですね。

精油は油溶性だから水には溶けず、そのままだと水面に溜まって直接皮膚に触れることになるわ。
公益法人AEAJでは入浴の際に精油を使用するときは無水エタノールで薄めることを推奨しています。
エタノールはアルコールの一種で、油を溶かす性質があります。消毒用アルコールは無水エタノールに水をまぜることでつくられています。違いは純度にあり、無水エタノールのほうがエタノールの純度が高く、そのぶん揮発性も高くなっています。

消毒用アルコールなら家にあるんですけどねえ。
消毒用アルコールでも無水エタノールの代用は可能です。水が混じっているぶん無水エタノールよりも精油が溶けにくいのですが、容器に消毒用アルコールと精油を入れてシェイクすれば十分混ざります。
1回分の入浴には1~5滴にとどめる
こちらもAEAJで推奨されている内容です。精油は皮膚への刺激が強いものもあるので、一度に入れる量は多すぎないことが大切です。
皮膚への影響が心配な人は事前にパッチテストをすることもおすすめです。
バスソルトにおすすめのハーブ
バスソルトにドライハーブを入れるときの注意点
ハーブをパックに入れる
ハーブ入りのバスソルトを使うとき、そのままだと湯船にハーブの葉が湯船に散らばり、掃除が大変になります。手間を減らしたい場合はメッシュのパックに入れた状態でお風呂に入れましょう。
もちろん、葉が水面に広がるのを楽しみたい場合はパックに入れる必要はありません。
