昨日家に帰ったら〜、なんか水漏れしてて〜。
語尾を伸ばすクセはよくないわよ。
語尾って印象に残りやすいの。
これは文章でも同じね。
文末をどう表現するかって、文章の印象を左右するのよ。
話聞いてくださいよ〜〜。
文末の重要性
日本語の語順
日本語は英語や中国語とちがい、話のオチが文末に来るタイプの言語です。これは「なにがどうした」の「どうした」の部分、つまり述語が文末に置かれるからです。
重要内容が文末に来るので、自然と文末に注目が集まります。文末の無意味なくりかえしは、読者が気づきやすい部分です。
文末表現はその文を締めくくり、余韻を残す部分でもあります。文末表現が変われば、その文の印象は大きく変わります。
その文が段落や本文全体の終わりである場合は、特に読後感への影響が大きくなります。
話のオチがいつも同じ人がいたら、飽きられやすいってことですね。
私も気をつけます!
重複があると単調になる
文章の中で表現のくりかえしが続くと、読者は次第にうんざりしてしまいます。
具体的には、2回までの連続は自然に見えますが、3回同じ表現を続けるのは避けましょう。
2回目まではセーフなのって、お笑い界での「テンドンは2回まで」っていうのと似てますね。
3回同じことをするのはくどい、っていう感性はいろんなところに共通しているのね。
文体を選択する
常体か敬体か
日本語の文体は、「〜だ(である)」「〜する」の形で書く常体と、「〜です」「〜ます」の形で書く敬体とがあります。
文体の種類 | 文末表現 |
---|---|
常体 | 〜だ、〜である、〜する |
敬体 | 〜です、〜ます |
どちらを選択すべきかの決まりはありません。書くのが新聞記事なのか、ブログ記事なのかといった媒体の特徴や、対象としている読者像によって選択しましょう。
文体は、どちらを選択したとしても本文全体のなかで一貫していなければいけません。
本日は帰宅いたします。なんちゃってな、ガハハ!
1回のセリフでキャラがぶれると、違和感アリアリね。
くりかえしてしまいやすい文末の例
体言止めをくりかえさない
体言止めとは、文末を名詞で終わらせることです。
体言止めの多用は避けましょう。体言止めはテンポよくリズミカルな表現をつくれるので、演説や会話では好まれがちです。しかし、書き言葉では文末の形式が目に映るので、連続して使うと文章が雑に書かれているような印象を受けます。
NGパターンは卒業式で読む送辞のような印象を受けます。歯切れのよい口調にはなりますが、説明する場面であればOKパターンのほうが丁寧な語り口になっています。
「〜です」をくりかえさない
体言に丁寧な気持ちを表す敬語を足すと、「体言+です」となります。体言止めのくりかえしと比べたらマシですが、「〜です」の重複も文章の書き方が稚拙に映ります。
ちなみに、「〜です」をもちいる場面は、以下のパターンがあります。
「〜です」を用いる場面 | 例 |
---|---|
体言+です | 学生です、日本です |
形容詞+です | うれしいです、悲しいです |
形容動詞の語幹+です | 元気です、静かです |
助詞+です | 〜のです、〜からです |
「形容詞+です」は、それが本来的な用法ではないことから否定的にとらえる読者もいます。ただし現代では十分に一般的な表現であり、間違った言葉づかいということではありません。
「〜ています」「〜なります」「〜のです」
「〜ています」「〜なります」「〜のです」のような複数単語がセットになった文末表現を連続で何度も用いると、「です」「ます」だけのくりかえしよりも違和感が強烈になります。
こういった文末パターンがくりかえされるときは、文末だけでなく文全体の構造が重なってしまっている場合も多くあります。
重複している不要な文を削除したり、思い切って書きたい内容を変更したりすることも効果的です。
NGパターンで重なっていた「〜ています」を、より具体的に状況が伝わる言葉に変更しました。
文末の重複を避けるための方法
時制を混在させる
過去の話のなかに、過去を表す言い方と現在を表す言い方を混ぜることで、文章の印象を変えることができます。
過去の話題に「〜ている」など現在的な表現を混ぜると、文章に臨場感が生まれるので、イベントの振り返り記事などで効果的です。
「〜です」と「〜ます」を混在させる
「〜です」が連続しそうになったら、どれかを「〜ます」に変えられないか考えましょう。
「〜ます」は「動詞+ます」の形で使います。つまり、「です」「ます」を混在させると、文末に用いる品詞のバリエーションを増やすことができます。
否定を用いる
肯定文で書かずに否定分にすると、やや口調が強くなった印象が生まれます。これによって文のメッセージ性を高めることができます。連続で何度も使用すると、遠回りな言い方にとらえられ、読者の混乱を招きます。
疑問を用いる
語りかけるような口調になるため、読者が文章に対して親近感を感じやすくなります。連続で何度も使用すると、詰問しているような言い方にとらえらえ、圧迫感が生まれます。
呼びかける
疑問と同じく、語りかけるような口調になるため、読者が文章に対して親近感を感じやすくなります。連続で何度も使用すると、指示や命令をしているような言い方になります。