認知能力ってなんですか?
人が世界をどのように理解し、どう行動するかにかかわる心理的な能力よ。理解力や言語力、計算力などさまざまな能力が認知能力に支えられているわ。
スパイダーマンみたいに迫る危険を察知することもできますか?
スパイダーセンスは手に入らないと思うけど、推論・順位づけ・注意といった認知能力が高ければ危機予測能力も高まるわよ。
こんにちは、Yunです!
子どもの知育について調べるなかで「認知能力ってなに?」「子どもの認知能力ってどうすれば向上するの?」と疑問に感じていませんか?
そんな疑問をお持ちの方に、こちらの記事では認知能力の分類と、それぞれの鍛え方について解説しています!
この記事を読めば子どもの認知能力の種類と伸ばし方がわかります!
認知能力とはなにか
厚生労働省「e-ヘルスネット」による認知機能の定義は以下のとおりです。
理解、判断、論理などの知的機能のこと。
出典:e-ヘルスネット
認知とは理解・判断・論理などの知的機能を指し、精神医学的には知能に類似した意味であり、心理学では知覚を中心とした概念です。心理学的には知覚・判断・想像・推論・決定・記憶・言語理解といったさまざまな要素が含まれますが、これらを包括して認知と呼ばれるようになりました。
認知機能という言葉は英訳すると「Cognitive Functions」ですが、欧米では「Cognitive Abilities」「Cognitive Skills」の語を使うほうが一般的です。つまり、ほぼ同じ内容の概念ですが「機能(function)」というよりも「能力(ability)」「技術(skill)」としてとらえられています。
この記事でも「認知」を複数の能力の集合ととらえ、トレーニングによって鍛えられるものとして解説していきます。
認知能力とは脳の思考や読解、学習、記憶、推論、注意といった機能をはたすための中核的な能力です。人は生活のなかでたくさんの情報を得つつ、それを脳内で処理していますが、そのときに活用しているのが認知能力です。
認知能力の分類には諸説ありますが、いずれにしても複数の能力が相互作用的に関係しあうことで情報を処理していることがわかっています。つまりある特定の認知能力の発達が著しく遅れてしまうと、どんな情報に対しても処理や保持に悪影響が出てしまい、学習の遅れなどの結果につながります。
どの能力も大事なんですね!
認知能力の種類
認知能力の分類には諸説ありますが、この記事ではある程度幅広く紹介します。以下に大分類を記します。小分類については、続きの内容を参照してください。
長期記憶
過去に記憶したことがらを思い出す能力です。
長期記憶の能力が低い場合、人の名前を忘れやすかったり、学校の授業内容を忘れやすかったりします。
短期記憶
短期的に使用する情報を保持する能力です。短期記憶はワーキングメモリとも呼ばれ、一定時間の限られた作業期間内だけ覚えておく記憶をさします。
短期記憶の能力が低い場合、会話で今言われたばかりのことを忘れたり、仕事で指示された内容を何度も聞き返したりします。
関連づけ
新しく得た情報を、既知の情報と紐づける能力です。これまでの会話の流れから推測して位置づけたり、なんらかの連想を働かせたりすることで情報どうしを結びつけます。
この能力が低い場合、単語を覚えたり、授業内容を理解したりすることが難しくなります。
論理と推論
論理的に思考し、問題を解決する能力です。一般的に「思考力」「判断力」と呼ばれる力はこの能力が深く関係しています。
論理と推論の能力が低い場合、先の行動を予測する能力に欠けたり、数学が苦手になったり、感情的にものごとをとらえやすくなったりします。
抽象的思考
具体的なものがなくても、ものの概念を理解する能力です。
この能力が低い場合、分数の計算や、文字を使った計算が苦手になります。
計算
計算能力は、論理と推論の能力や視覚処理能力などが組み合わさった力と言えます。
抽象的な思考力も必要であるため、高度な処理になりやすい行動です。
計算っていろんな力の合わさったものなんですね〜。
順位づけ
新しい情報に対して優先順位をつける力です。
この能力が低い場合、なにが大事かを間違えたり、危険な方法を選んでしまったりします。
分類
順位づけが同じグループ内のものへの判断であるのに対して、分類はどのグループに所属させるかの判断です。
この能力が低い場合、ものの見間違えが多くなります。
客観的思考
相手の立場にたってものごとを考える能力です。
この能力が低いと、周囲からわがままだと思われるようになります。
メタ認知
メタ認知は「認知の認知」とも呼ばれる能力です。つまり、自分がどのようにものごとを認知しているかを認識する能力をさします。
この能力が低い場合、自分には無理なことに挑戦したり、反対に自分を過小評価してできるはずのこともやらなくなったりします。
視覚処理
視覚でとらえた情報を処理する能力です。ふつう人はほかの感覚でとらえるよりも、視覚でとらえるほうが理解しやすいと感じます。
視覚処理の能力が低い場合、読解力に支障が出たり、地図を読むのが苦手だったりします。
聴覚処理
聴覚でとらえた情報を処理する能力です。今聞こえている音を種類ごとに分類してとらえたり、音声の内容を理解したりする力です。
聴覚処理の能力が低い場合、言葉のイントネーションを間違いやすかったり、指示を理解しにくかったりします。
英語のリスニング力にもかかわりそうですね!
注意
持続的注意
一定期間、集中してタスクに取りくむことができます。いわゆる「集中力」はこの能力が深く関係しています。
この能力が低い場合、なにかに取りくんだとしても最後までやりきらずに途中で投げ出すことが多くなります。
選択的注意
対象に意識を向ける能力です。生まれてすぐの子どもは、視点を定めることができません。未就学児もまた、1か所に注意を払うことが苦手であり、「どこを見ているの」「ちゃんと話を聞いているの」と指摘されることが多くあります。
この能力が低い場合、気が散りやすくなります。
言語処理
言語処理能力は視覚処理や聴覚処理などが組み合わさった能力です。言語処理能力は出生後5歳までがもっとも高いと言われています。
遂行
なんらかの行動を実際におこない、やり遂げる能力です。これには判断力、抽象的思考力などが組み合わさらないといけません。
手順という抽象概念を順序立てる思考力が低いと、指示のとおりに行動することが難しくなります。
子どもの認知能力のトレーニング方法
おままごとやごっこ遊び
おままごとやごっこ遊びのうち、身の回りのものを食べ物や武器に見立てる遊び方を「象徴遊び」と呼びます。これは現実にはないものをイメージで補完する行為であり、子どもの認知能力の発達にとても効果的であることがわかっています。
外で遊ぶ
創造性と即興性を育みたければ、構造化されてない環境を与えることが効果的です。外遊びでは子どもは自然からさまざまな刺激を受け、また、自由な発想で遊びをつくります。外で遊ぶことそのものに子どもの認知能力を発達させる効果があります。
図鑑を見てものの名前を覚える
一緒に図鑑を見て、犬と猫の違いまたは共通点をさがしたり、地球と太陽の関係を学んだりすることはものの特徴や関係性を理解する能力や長期記憶の発達をうながします。
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ルーティーンをもつ
くり返しは長期記憶の形成をうながします。本の読み聞かせや童謡を同じものでくり返しおこなってあげてください。絵本にしても童謡にしても、幼児に対してはシンプルな語彙や韻のものが望ましいと言えます。
お絵描きや工作
絵画や美術で得られるものは美的感覚だけではありません。さまざまな色彩に触れることで視覚処理能力が刺激され、粘土や紙の触感を知ることで指先の運動能力が刺激されます。認知能力の発達に関して言えば、枠線の決められた塗り絵よりも、自由に描ける自由帳のほうがおすすめです。
昔からある遊び方も効果あるんですね!