ちゃんとした文章なんて就活のエントリーシート以来です…。
文章は書く前の準備段階でほぼ勝負が決まるわよ。
お笑い芸人のトークのおもしろさは下積み時代の経験値で決まる、みたいな話ですか?
それはよくわからないわ。
こんにちは、yunです!
文章を書く仕事を担当することになったとき、「うまい文章ってどうやって書くの?」と疑問に感じていませんか?
今回はそんな悩みをお持ちの方に向けて、ビジネスシーンの文章力を向上させるための基礎・基本を解説します。
この記事を読めば、文章を書く際のやるべきことと、やってはいけないことがわかります!
ビジネス文章のポイント5つ
文章を書く際の大きなポイントは5つです。
文章として書き出す前の段階と、書いてから見直す段階とに分かれます。
それでは、詳しく見ていきましょう!
メモからはじめる①:作戦をメモ書きする
いきなり書き出す前に、書くための準備を整えましょう。
ビジネスが戦いだとしたら、なんの作戦もなく突撃して勝てるはずがありません。
実際にまとまった文章を書く前に、メモ書きレベルでいいのでミッション達成のための作戦を立てましょう。
仕事で文章を書くうえでは、このステップの完成度がもっとも重要です。
文章を書くことの全体像をイメージする
最終的に文字になって読者の目に入る完成品は、実際は「文章を書く」という行為の氷山の一角でしかありません。
このように、表面的な部分の下にはその何倍も大きな土台がある、という状況を氷山にたとえた思考ツールを氷山モデル(アイスバーグ・モデル)と言います。
この氷山モデルはさまざまな事柄に当てはまるもので、文章を書くことも例外ではありません。
完成した文章を読者に読んでもらうことは、ただ「文を書く」行為だけでは成立しないことを最初に把握しましょう。
氷山モデルの考え方はコミュニケーションにも応用できるわ。
ある人の発言は、その人の価値観や知識が土台となっているという考え方よ。
氷山モデルについては、こちらの記事で解説しています。
文章に目的を設定する
目的とはゴールであり、計画の最終目標のことです。あなたが文章を書くことで最終的に達成したいことを目的に設定しましょう。
仕事で文章を書く目的の例としては、商品の売り上げを増やしたい、広告収入を得たい、社内で企画を実現したい、などがあります。
目的は具体的な数値ではなく、ある程度抽象的な言葉で表しましょう。
仕事で書く文章は、読者に何らかの行動をとらせることを目的とする場合が多いわ。
文章に目標を設定する
ここでいう目標とは、目的(ゴール)に至る道のりの途中にあるチェックポイントです。
先ほどの目的と異なり、目標は具体的な数値で考えましょう。
目標の例としては文字数◯◯字、閲覧数◯◯PVなどがあります。
今回おすすめする目標は、読者に文章を終わりまで読まれることです。
ゴールが読者に行動を起こしてもらうことならば、あなたの文章が最後まで読まれたかどうかは目標達成の重要な指標になります。
それを越えなければゴールにたどり着くことが難しい壁(ハードル)を目標にしましょう
読者を設定する
あなたの文章を読むのは誰なのかを想定しましょう。
ここでは、あなたの目的達成(企画を通したい、など)のカギとなる人物を想定してください。
その読者に対して使う言葉は堅いほうがよいか、柔らかいほうがよいか、前提となる知識がどれくらいあるかなどを考えましょう。
相手の好みや性格を知っていると有利に働きます。あなたの文章を終わりまで読んでもらうために、相手好みの文章にしてあげましょう。
相手が大好きな料理を作ってあげましょう。そうすれば、全部きれいに食べてくれるわ。
メモからはじめる②:構成をメモ書きする
構成を練ることは積み木を積みあげるようなものです。
ブロックは下から順に積まなければいけませんし、土台のブロックが上に乗るブロックよりも大きくなければ安定しません。
書くことのテクニックをどれだけ身につけても、構成を失敗すれば目的達成はできません。
メモ書きでいいので、時間をかけて考えましょう。
テーマを設定する
テーマとは、文章の「お題」です。
絵画のお題なら「自然の美しさ」「争いの醜さ」「街のにぎわい」など、映画のお題なら「家族愛」「友情」、「成長」などがありますね。
テーマを決めることは、どんな分野の、どんなことについて書くのかを決めることです。
この記事のテーマは『仕事であなたの文章を評価してもらえるようになる方法』よ!
アイデアを出す
アイデアは「お題 × 切り口」で生まれます。
目の付けどころを変えることで、さまざまなアイデアを生み出すことができます。
この段階では、とにかくたくさんアイデアを出すことを優先します。きれいな文章にする必要はなく、自分がわかる程度の箇条書きをくりかえしましょう。
芸人さんが作る漫才のネタのイメージですね! ネタのおもしろさは目の付けどころに宿っているんです。
そうなんだ……。
アイデアに優先順位をつける
文章の目的に照らしあわせて、なにを優先的に話すかを選びましょう。
もっとも優先度の高いアイデアは、あなたの文章でもっとも重要な情報になります。
文章全体に一貫しているアイデアは、あなたの文章のコンセプトです。文章のコンセプトは、あなたの価値観や意志と密接につながりがあります。
アイデアに優先順位をつけることで、テーマについて「どこから」話すかが決まります。
あなたの文章に心臓と血の流れをイメージしてみて。心臓となるアイデアは、それが欠ければ文章全体が死んでしまうような、最重要のアイデア。全身に行きわたる血流となっているアイデアは、あなたの文章のコンセプトよ。
出したアイデアを削る
すべてのアイデアを完成品に盛りこむことはしません。
どんなアイデアを取りいれるかを選ぶことで、テーマについて「どのくらい」話すかが決まります。
テーマについてどのくらいくわしく話すかは、文章の目的や設定している読者像によって変わってくるわ。
残ったアイデアから骨組みをつくる
目次は、文章にとっての骨格にあたります。
ひとつひとつの話題について書き出す前に、文章の目次を完成させましょう。
ポイントは2つです
目次が取りこぼしなく、重なりなく作ることができたら、どの部分から書き出しても問題ありません。
基礎となる土台がしっかりしていたら、建てた家はそう簡単には崩れない。
頑丈な骨をもっていたら、ぶつかっても大ケガすることは少ないですね!
一番伝えたいことをひと言にして、見出しにする
目次には、見出しが必要になります。
見出しは、読者の目に入る最初の言葉。読者の集中力が高いうちに、あなたのアイデアを読者に届ける必要があります。
魅力ある内容から書く
イギリスではスマホから得られるたくさんの情報が気になるせいで、人々の集中力が下がっているという調査結果があります(下記URL参照)。
読者があなたの文章への興味を失うまでの間に、あなたのアイデアを魅力ある順に伝えていきましょう。
この段階もまずは箇条書きのメモから始めましょう。これまで全体像の骨組みを考えてきましたが、ここではより小さい単位として、ひとつひとつの話題の骨組みを作っていきます。
あなたの文章を音楽だと思って、イントロは短く、キャッチーなサビからスタートさせましょう。
サビがいいと思ってもらえたら、あなたの曲は何度も聴いてもらえるわ。
参考URL(英語)
https://phys.org/news/2022-02-attention-spans-collapsing-uk-technology.html
違和感のない言葉づかいをする
構成ができあがれば、本文を書き出していきます。
これまで全体を見て気をつけてきたことを、今度は段落レベルや一文レベルでチェックしていきます。
ここからのパートは、書いたあとの見直しに関することです。
ひとつひとつの話題のなかでも、重なりがないことをチェック
ひとつの段落や話題のなかで、言葉選びや内容が過剰に重複していないかを確認します。
単語レベル、単語がいくつか集まったひとかたまり(文節)レベル、文の構造レベルなど、重複は視点を変えてさまざまな段階でチェックしましょう。
具体的には、重なりは2回までなら許容範囲です。しかし、3回以上連続すると、それは文章力の低さとして読者に受け止められてしまいます。
強調するためにくりかえすのはOK。ただし、やりすぎはNG。
メッセージを強調しようとすると、内容を反復するのが効果的です。ただしそのときも最重要の単語以外は言いかえますし、くどくどと言いすぎるのは逆効果に働きます。
意味のない重なりや過剰な重なりは読者の集中力を下げ、あなたの文章から読者は目を離すようになります。
どれだけ感動的な格言も、短時間で何度も聞かされたらうんざりするわ。
主語を誰にするかでメッセージが変わる
主語と述語は一致しなければいけません。
書き手がイメージする主語によって、文末にくる述語は変わります。
今書くべきは「私」が主語の文なのか、「あなた」が主語の文なのか、はたまたほかの誰かが主語なのか、つねにイメージしてコントロールしてください。
仕事のマニュアルを書く場合は、項目単位でつねに主語を揃えて書かないと混乱を招く原因になります。
長すぎる修飾語は解体する
上記の場合、主語の「メンバー」にかかる修飾語が長すぎて、文を読んでいると混乱しそうになってしまいます。
「推しの劇団のメンバー」という言い方も、「推し」が「劇団」と「メンバー」のどちらにかかっているのか判断に迷いが生じます。
一度書いてみて修飾語が長くなりすぎたと感じたら、まずは1文を2文に分けてみることをおすすめします。他には読点を足したり、言葉を並べかえたりすることも効果があります。
修飾語を2文に解体した際には、それぞれの文の主語と述語を一致させることも忘れないでください。
読点は使いすぎず減らしすぎず、バランスが大切
上記2つの文は、読点の位置が違うだけですが、文の内容も変わってしまっています。
前者は「好きだと言った」の主語は「私」と読み取れますが、後者は「あなた」が主語のように感じられます。
読点はこのように、区切ることで文の意味をはっきりさせるために使うのがもっとも効果的です。
ほかにも読点は使うことで読者に息つぎ的な効果を与えられます。しかしこの用法は、一文内で多用しすぎるのは避けましょう。
このように読点を「〜は」「〜を」などの助詞や「いつ」「どこ」などの副詞のあとに機械的に毎回入れる人がいます。
しかし、これでは言葉の区切りもかえって不明確ですし、なにより文を音でイメージしたときに言葉がつっかえているような印象を受けます。
読点の使い方はバランス感覚が重要です。具体的には、まず1文に1回だけ読点をつけてみましょう。つぎに、この文には読点が不要だと思ったら削り、反対にもっとないと読みづらいと感じたら2つめの読点を足しましょう。
読点の使い方に絶対のルールはありません。
慣れないうちは毎回の文で立ち止まり、無意味な読点を付けていないか確認しましょう。
便利な言葉を使いすぎない
文章では文の内容・見た目・音のどれもが大切です。
しかし、どんな場面でも使いやすい便利な言葉を多用していると、文章の見た目と音の質が下がってしまいます。
構成を練り、各段落を論理的に書けるようになったら、次は一文のクオリティをもう1段階上げるための工夫をしていきましょう。
内容・見た目・音どれも大切
文章は内容や意味だけではなく、字面や読み上げたときの音のリズムも重要です。
なぜなら、文章は「心地よく」ないと読んでもらえないからです。
文字に漢字が多すぎたり、反対にひらがなが多すぎたりすることや、単調なリズムのくりかえしが続いていると、そのことがノイズとなってしまって文章の内容が相手に伝わりにくくなります。
内容(=メッセージ)だけでなく、文章のビジュアル面やリズム面も意識して書きましょう。
簡潔な表現にできないか試す
内容に大差がなければ、思い切って短い表現にしたほうが読まれる文章になります。
ツッコミをおそれて前置き言葉を多用しない
「基本的に」「原則は」などの前置きは、「例外もあるのに!」と読者からツッコミを入れられるのを避けたいときに使う言葉です。
文章に保険をかけようとすると毎回前置きが必要になり、文章が冗長になります。
毎回書き出しに前置きがあると、読者はうんざりしてあなたの話が頭に入ってきません。
必要性が低いと感じるときは、勇気をもって前置きを削りましょう。
体言止めを何度も連続させない
文末を名詞で終わらせることを体言止めと言います。
体言止めの多用は避けましょう。体言止めはテンポよくリズミカルな表現をつくれるので、演説や会話では好まれがちです。しかし、書き言葉では文末の形式が目に映るので、連続して使うと文章が雑に書かれているような印象を与えます。
文末表現のくりかえしを避けることは、読者を飽きさせない大切な工夫です。
そのほかの文末表現については、こちらの記事で解説しています。
漢字ばかりで書かない、ひらがなばかりにもしない
漢字が多い文章は堅苦しく、難解なイメージを与えてしまい、読者が離脱しやすくなります。
カタカナ語・外来語の多用も、漢字が多い文章と同じく読者が疲れて読む集中力を下げることになります。
外来語の使用は読者に前提知識があれば問題ありませんが、それでもやはり過剰なカタカナ語への置きかえは避けましょう。
反対に、ひらがなばかりで書くのも言葉の切れ目が分かりづらくなり、読者に読みにくさを感じさせてしまいます。
漢字・かなの使用もバランスが重要です。
単語ごとに漢字を閉じるか開くか決める
言葉を漢字で書くことを「閉じる」、かなで書くことを「開く」と言います。
漢字の閉じ開きについては完全に統一されたルールはありませんが、部分的にはかなり一般的になっているものもあります。
書くのが論文なのかニュース記事なのか社内資料なのかなど、ジャンルによって閉じ開きの共通理解も大きく変わるので、あなたが書く文章と同じジャンルの文章をいくつか読む経験をするとよいでしょう。
世間の人が読みやすい書き方として考えられる漢字の閉じ開きのルールには、以下のようなものがあります。
便利な言葉に頼ると、幼稚に思われる
意味の範囲が広い言葉は、便利なので日常会話では頻繁に使用されます。
意味の広い便利な言葉とは、ほとんどが日本語の基本単語です。便利な言葉に頼ることは、つまり基本単語ばかりを使用していることになるので、読者に言葉づかいが幼稚であると受け止められます。
たとえば映画のレビュー記事で毎回感想が「おもしろい」「泣ける」「感動する」であったり、講演に対する謝辞が毎回「勉強になりました」だったりすると、中身がない印象を受けてしまいます。
使う状況が限られている言葉を優先的に使う
使う状況が限定された言葉を、タイミングよく使うとあなたの文章は洗練された印象になります。
たとえば映画の感想を書く場合で見てみましょう。
修正版は「おもしろかった」よりずいぶん長くなりましたが、上記の表現はどの作品の感想でも書ける内容ではありません。だからこそ、幼稚さは取り除くことができます。
格言や慣用句も使える状況に制限があるので、ぴったりな状況で使うと効果的です。ただし、定番の慣用句やことわざを使うことは、その行為自体が便利な行為であるので、多用しすぎないようにしましょう。
あいまいな言葉を使わない
たとえば「◯◯の件について」とだけ書かれた表題は、「◯◯の件」以外の情報がないのと同じです。
このようなあいまいだけど中身が薄い表現は、なるべく使用を避けましょう。
ほかにも、ハウツー系の文章であれば「〜に注意する」「〜を意識する」という言葉を多用しがちです。
もちろん必要に応じて使う分にはなにも問題ありませんが、注意・意識した先にある具体的な行動まで提示できるのであれば、そのほうが読者にははっきりと伝わります。
助詞の使い方を見直す
助詞とは日本語の「てにをは」などのことです。
主語につける「は」と「が」や、時を表す語につける「に」と「で」などは混同されているケースをよく見ます。
助詞の間違いやすい例についてはこちらの記事で解説しています。
読者の気持ちを考える
共感を呼べる箇所を用意する
読者から「理解」と「共感」を得ましょう。読者にとって新しい情報ばかりだと「そうなんだ」とはなっても共感には至りません。また、共感できないまま読み進めることは読者に次第に苦痛を感じさせます。
文章のどこかに、すでに読者が経験していることや知っていることを混ぜて書きましょう。
このテクニックは、文章の導入部で効果的です。初めに共感を得ておけば、読者が続きの内容を理解することのサポートになります。
画像も用意する
文章を書く目的と目標を覚えていますか? あなたの文章は「企画を通す」「収益を得る」という目的や「終わりまで文章を読んでもらう」という目標を達成するために書かれているはずです。
この記事では文章の書き方を解説していますが、目的達成のためには文字だけでは力不足な場面があります。いくら漢字をかなに直しても、読者はどうしても文字情報ばかりでは疲れてしまうのです。
読者に具体的なイメージを持ってもらうことに関しては、画像の効果は絶大です。
読者が字を読むのに疲れそうなタイミングをねらって画像を配置しましょう。
また、文章のテーマが統計に数字に関するものであれば、グラフや表を設置することはほぼ必須と言えます。
読者が行動を起こすためのひと押しをする
あなたの文章は目的のために書かれていて、その目的達成にはおそらく読者がなんらかの行動を起こすことが欠かせないはずです。
これまでのステップであなたの文章は読者に必要な情報を与え、共感を得ることができています。これは、読者があなたの続きの言葉を期待している状況です。
信用を失うようなことを書かない
あなたの読者を大切にしなくてはなりません。
あなたの文章を信用した読者のことを裏切ってはいけません。一度裏切れば、その読者はもうあなたのことを信用することはなくなります。
あなたはあなたの目的にそって読者に行動をうながしますが、その態度は誠実であることを心がけましょう。