朝起きるのがいつも時間ギリギリになっちゃうんです。
氷山モデルでは、あなたの行動を作っている構造があると考えるわ。
夜更かししてるから、とかですか?
もっと深い部分にあるものを一緒に考えてみましょうね。
こんにちは、yunです!
氷山モデルとはなにか
氷山モデル(Icebirg model)とは、いま注目している出来事の根本にある原因を理解するための考え方(思考ツール)です。日本では福祉・教育分野で特に注目されていますが、欧米では以下で紹介するシステム思考のツールとして幅広い分野に応用されています。アイスバーグ・モデル、アイスバーグ理論とも呼びます。
「氷山の一角」という言葉があるように、水面上で目視できる氷山は、実は氷山全体の10%ほどに過ぎません。
この氷山になぞらえて、氷山モデルは人々に「いま見えている行動や問題は、多くの目に見えない事柄が原因となって引き起こされている」という考え方をうながします。
氷山モデルは今解決したい問題の隠れた原因がどこにあるかを示してくれます。
氷山モデルはシステム思考をうながすための思考ツールです。氷山モデルを用いることで、人々は問題の原因が視覚的に理解しやすくなります。
氷山って海に浮かんでるんだと思ってました!
氷山モデルはシステム思考のツール
システム思考とは、ものごと全体をひとつのシステム(仕組み)と考え、そのシステムがどのようなパーツからなり、そのパーツひとつひとつが互いにどのように影響しあっているかに注目した考え方です。
システム思考で考えることで、目の前の問題がどのようなものか正確にとらえ、その原因を深く調べることができます。
システム思考モデルは他にもありますが、氷山モデルはもっとも人気がありよく知られているモデルの 1 つです。
そもそもシステムってなんですか?
部分が組み合わさってできているもののことよ。
システムと呼べるものはたくさんあるから以下に例を挙げておくわ。
氷山モデルの起源
氷山モデルは、人類学者のエドワード T. ホールが1970 年代に、あらゆる社会に普及している文化的規範の類推として、「文化の氷山モデル」として提唱したのが始まりです。
「文化の氷山モデル」という用語は、南極や北極に見られる氷山をもとにしています。氷山は水面上から見える部分と、水中にある見えない部分で構成されています。多くの場合、氷山は実際の体積の90%ほどが水中に隠れています。
ホールは氷山と同じく、社会の文化や人の行動には目に見える要素と見えない要素の両方があると考えました。文化の目に見える部分は、私たちの生き方や交流のしかた、伝統、食べ物、服装などです。
目に見えない部分は、私たちの好みや意見、価値観、信念などです。
氷山の多くが水中に隠されているように、文化や行動の多くは目に見えない部分を土台としていますが、無視することはできません。
私たちの目に見えている行動は、水中に存在する氷山の大きな塊のような目に見えない部分に基づいて決定しているのです。
さまざまな分野に応用される氷山モデル
こののち、経営学の教授である グレイ R. ウェーバーが「文化の氷山モデル」の考えを発展させ、これを企業文化や企業倫理、価値観に応用できると提唱しました 。
氷山モデルの4つのレベル
氷山モデルでは、問題や出来事は複数の階層(レベル)から成り立っていると考えます。
一般的に、氷山モデルにはイベントレベル、パターンレベル、構造レベル、メンタルモデルレベルという4つの階層があります。
それぞれの階層は、問題や出来事についての深さを表しています。この4つの階層は、目に見えるレベル、表面レベル、下層レベル、根本のレベルと考えることもできます。
氷山モデルのイベントレベル
どのように見えているか
イベントレベルは氷山のうち、水面上に現れている部分であり、その問題や行動(イベント)をもっとも認識しやすい部分です。
これはいわゆる問題の「氷山の一角」です。つまり、問題全体のほんの一部分であり、問題の本質ではないということです。
このイベントレベルは、その下にある複数の階層が要因となって生じています。
イベントレベルに注目することは、目の前のできごとを認識することです。
私は朝起きるのが苦手です!
氷山モデルのパターンレベル
問題にはパターンがある
人の行動や発生する問題には、それぞれの傾向や決まり(パターン)があります。
このパターンに気づくことで、その問題や行動に対処しやすくなります。
パターンレベルにはその人の行動の法則性をまとめます。このパターンレベルを探るところから、注目したいイベントの全体像を見ようとする行為は始まります。
私は毎日朝が苦手です……。
アラームは10分おきにいっぱいかけてるんですけどね〜。
氷山モデルの構造レベル
問題発生パターンに陥っている原因を考える
構造レベルは、氷山モデルの下から2番目の階層です。
ここではパターンの根底にある原因について考えます。
組織であれば人員の数や物資、部署の数などが構造レベルに含まれます。
これは個人の話であれば経済力や取り組める時間の長さ、人間関係などに置き換えられます。
つまり、構造レベルに記述するのはその組織や個人が置かれている状況や、その状況をつくっているものです。
これらの構造ひとつひとつが複雑に絡みあい、今見えているイベントを作り出しています。
組織や社会のように複雑なシステムになると、構造レベルに記述するべきパーツも増えていきます。
私は朝が苦手なのって、何度もアラームで起きるから眠りが浅いからなのかな。
最近運動不足で体力がなくなってるから、日中の疲れがたまりやすくなってることも関係してるかも。
氷山モデルのメンタルモデルレベル
根本要因は人の心のうちにある
メンタルモデルレベルは氷山のもっとも下にある階層で、見えているイベントの基礎となっている部分です。氷山はこの最下層から順につくられています。
この階層には信念や価値観、思い込みなど人の精神的な部分が含まれます。
私たちは皆、なにかを信じて生きています。人が誰かに親切にするのは、そうすることが正しいと信じているからです。
人の信念はその人の過去の経験から成り立っているため変更することは簡単ではありません。
しかし、このメンタルモデルを変えることができればその人の行動パターンや、行動そのものも変化します。
氷山モデルはこのメンタルモデルを最下層に置くことで、問題の根本要因が人の心にあることを示しています。
遅刻しなきゃいいと思ってる部分があるからってことですかね……。
運動不足が原因とわかってて運動しないのは、「運動したくない」という気持ちがあるからとも考えられるわ。
うう、厳しいです〜。
氷山モデルの重要性
氷山モデルは問題の根本的な原因は人の信念や価値観でることを教えてくれます。
そしてモグラ叩きのように表面的な問題だけに対処していても、問題の再発を防止することはきないことを示してくれています。
氷山モデルを用いて問題にかかわる人の心を分析することで、問題解決に近づくことができます。
氷山モデルで考えるメリット
リーダーやマネージャーにとってのメリット
リーダーやマネージャーにとって、氷山モデルを知っておくことはマネジメントに役立ちます。
チームに新たなメンバーを加えるときに問題が生じるのは、それぞれの人がもつ文化が異なるからです。
チームの方針を変更したときにうまく機能しないのは、表面的な手法だけを変更して根本的な構造に対処していないからです。
万能な解決策はありませんが、組織文化のなかに隠れている信念や価値観をさぐることが有効な手立てとなります。
個人的な取り組みにおけるメリット
あなたがなんらかの技術が向上しないことに悩んでいる場合も、氷山モデルが役立ちます。
自分の行動パターンを分析するために1日のスケジュールを書き出してみましょう。
次に、行動の構造を知るために自分の持ち物や身を置いている環境について考えてみましょう。
ダイエットが続かないのはこらえ性がないからではなく、手元にお菓子があるからかもしれません。または、つい寄ってしまうコンビニの前を通る帰り道を選んでいるからかもしれません。
メンタルモデルの変更が難しい場合も、構造レベルを変更することで問題の大部分が解消できます。
氷山モデルを身の回りの出来事に応用する方法
氷山モデルはさまざまな分野に応用できる思考ツールです。
以下のような問いかけをあなた自身にすることで、問題解決に近づくことができます。