
報告書を書いたら、課長に日本語が変だって言われました……。

そうねぇ、助詞の使い方は大丈夫?

とりあえずニコニコして話聞いてます!

……上司の扱い方は聞いてないわ。
こんにちは、Yunです!
ライティングについて調べるなかで「文章を正しい日本語で書くにはどうしたらいいの?」「助詞の正しい使い方ってどんなの?」と疑問に感じていませんか?
そんな悩みをお持ちの方に、こちらの記事では文章を書くなかで間違いやすい助詞について解説しています!

こんな書き方だと、上司から指摘を受けるわよ!
この記事を読めば、文章の中にある言葉づかいの違和感を減らすことができます!

助詞とはなにか
助詞とは、「てにをは」などのこと
助詞とは、いわゆる日本語の「てにをは」です。
実際は「てにをは」以外にさまざまな種類がありますが、今回の記事では頻繁につかう基本の助詞を中心に解説します。
助詞の厳密な定義や種類はこの記事では省略します。くわしく知りたい方はWikipedia等をご覧ください。
日本語では助詞の使い方が重要
英語や中国語には助詞がありません。
たとえば「I like soccer.(私はサッカーが好きです。)」の「I」は「私は」ではなく、「私」という意味です。
日本語に訳すときに「は」がないと不自然だから、単語の意味には含まれないものを足して訳しているわけです。
英語は語順が重要な言語で、「は」や「が」のような助詞がなくても語順だけで文の内容が伝わります。
反対に、日本語では英語ほど語順を重視しない代わりに、助詞の使い方で文の内容を判断しています。
だから、「てにをは」の使い方を間違えることは英作文で「I like soccer.」を「soccer like I.」と書くようなもの。誤解を生んだり、場合によっては、まったく意味が伝わらなかったりすることがあります。

助詞ってとっても大事なんですね!
助詞の使い方に注意する
助詞にはさまざまな種類がありますが、今回は文章を書くうえで特に間違いやすい例に絞って紹介します。
「は」と「が」のちがい
「は」も「が」も文の主語を表します。ただし、まったく同じ言葉ではありません。
正確には、「は」は文の主題や区別を表しますが、「が」にはそのような働きがない点が異なります。
「は」は主題を表す
「は」は主題(なんの話題か)を表す働きがあります。ただし、「が」との違いがほぼないときもあります。
「が」は主語を示し、述語(動詞など)と直接結びつきます。
主題と主語の違いがわかりにくいと思うので、以下の例で確認しましょう。
象が鼻は長い。
象は鼻が長い。
「長い」のは何かというと、「象」ではなく「鼻」ですね。
だから「象が長い」のではなく、「鼻が長い」と言います。このとき、「が」を伴っている「鼻」がこの文の主語です。
そして「鼻が長い」というのは「象」の話題のなかで登場しています。これを「象」が主題であると呼ぶのです。
別の例も見てみましょう。
来月、アメリカの大物歌手は来日する。
来月、アメリカの大物歌手が来日する。
上記の「アメリカの大物歌手」は「来日する」の主語です。「来日する」のは誰かと言うと、この大物歌手です。このように、動作をおこなう人・モノを主語と言います。
実はこの例では、「来月」の部分は「来月は」と言い換えることができます。「は」は省略されているけれど、「来月(の予定)」が文の主題となっているわけです。
文の主題は文の中でひとつだけです。NGパターンでは「来月は」と「大物歌手は」で話題が重複しているので読み手に違和感を生じさせてしまいます。

慣れないうちは、しっくりくる言い方になっているか落ち着いて確認しましょうね。
単文・重文・複文
文の種類は3種類あります。
文法的にもややわかりにくい部分です。下の枠内の説明は、読み飛ばしても問題ありません。
単文では一文の主語は一つだけです。そのため以下のような言い方は誤りです。
象が鼻が長い。
重文や複分では主語+述語の構造が一文のなかに複数あります。下記は複文の例です。
君が来ないならば、私が協力することはない。

なんかムズカしいです〜!

文の種類については、はじめから覚えようとしなくていいのよ。
他の基本的なことがわかってから再確認したらいいわ。
「は」は区別を表す
主題のほかに、「は」は区別も表します。
区別とは、そのものと他のものとに差をつけることです。
「は」を使ってものを示すと、その他のものとの違いを自然とイメージさせることができます。
例えば、飲み会の一次会には参加したけれど、二次会の誘いは断ろうとしているときに以下の言い方をしたとしましょう。
私がもう帰ります。
私はもう帰ります。
「帰る」の主語は私ですが、帰るという動作をするのが自分なのは当たり前なので、わざわざ言葉で主語を示すのは違和感があるため、NG文としています。
ここで「私」と言っているのは、帰るのが誰かを言いたいのではなく、「あなたや他の人は二次会に行くだろうけれど」という意図を含めたいからです。
「は」を使うと意図せずとも他とのちがいを示すことになります。このあたりは「は」と「も」の使い分けにおいて、注意すべき点です。
上記では、「は」は他の日と明日にちがいがあることを示しているのに対して、「も」は明日と明日以外の日が同様に行けない日であることを示しています。どちらの意味を表したいのかで、「は」か「も」かを正しく選択する必要があります。
ちなみに、「は」が表しているものが主題か区別か判断しづらい場合も多々あります。両方を表しているといえる場合もあります。この点は特に注意する必要はありませんが、不必要に区別を示すことは避けましょう。

「カレーを作るのは得意です」は主題ですか? 区別ですか?

違いをさしているから区別と解釈できるわ。
その場合、他の料理は得意とは言えないけど、の意味を含んだ言い方になっているの。

「には」と「は」のちがい
「には」は場所・時・行為の対象などと関係する
助詞の「に」自体に、場所・時・行為の対象などを示す働きがあります。
この「に」の働きと「は」の主題・区別の働きを組み合わせる場合、「には」を用います。
この本は、事件の詳細が書かれている。
この本には、事件の詳細が書かれている。
上記は「この本に事件の詳細が書かれている。」に主題の「は」を足した表現です。
このような受動態の文では、「には」と「は」の混同がよく見受けられます。
詳細が書かれている本ばかりではないが、という他の本との区別の意味が込められていると解釈することも可能です。
家族と過ごせる時間は限りがある。
家族と過ごせる時間には限りがある。
「家族と過ごせる時間」は文字通り時間を表す言葉ですから「に」が使われます。この「は」は話題であることも示していますが、この場合は趣味の時間やテレビを見る時間など、その他の時間との区別のニュアンスが強くでています。
「に」と「で」のちがい
「◯◯するとき」のあとは「に」
「に」は場所・時・行為の対象などを表します。
「忙しいとき」はのような「◯◯するとき」のあとは「に」を置きます。
忙しいときで申し訳ありません。
忙しいときに申し訳ありません。
この場合、本来は「忙しいときに◯◯して申し訳ありません」のような表現をするべきところを、動詞の部分を省略した言い方になっています。
省略した言い方をする場合は、頭の中で省略されている語句を補って文の構造を確認しましょう。
ただし、「その時点で◯◯する(した)」を表すなら「で」を用います。
「で」は活動場所を表す
「で」は場所・手段などを表します。「に」と同じく場所を示しますが、「で」の方はその場所で何らかの動作をすることを意味に含めます。
助詞 | 用法 |
---|---|
に | (単なる)場所 |
で | (動作をする)場所 |
以下の例文では、OKパターンの述語のちがいに注目してください。
ドラッグストアでは食品もある。
「ドラッグストア」は食品がある場所だから、「には」が適切です。
ただし、「取り扱う」のような動作を表す言葉を述語にするときは「では」がふさわしくなります。
「に」と「を」のちがい
「に」も「を」も動作の対象を表すので、誤用がよく起こります。
述語が「に」をとるか「を」をとるかは、述語によって変わります。
「に」を用いる動詞は、「に」を「に向かって」「に関して」「に対して」などに置き換えられます。
新しい仕事を挑戦する。
新しい仕事に挑戦する。
下記のような「気をつける」系の動詞(注意する、用心する、留意するなど)は「に」を用います。
社会的マイノリティを配慮する。
社会的マイノリティに配慮する。
表現の単調な繰り返しを注意する。
表現の単調な繰り返しに注意する。
「を」と「で」のちがい
「で」には手段・方法を表す働きがあります。このとき、方法の内容と動詞の意味の結びつきが正しいかを確認しましょう。
以下の例文では、「お願いする」を使うなら「〜をお願いする」とします。ただし、方法の内容と結びついた述語を用いるのであれば「で」を使えるケースです。
個別会計でお願いする。
「で」は動作をする場所を表すことができます。「を」には場所を表す働きはありません。
道をつまづいて転んでしまった。
道でつまづいて転んでしまった。
「を」と「が」の違い
以下に、誤用が多い例をあげます。
好き・嫌い、得意・苦手などの言い方には「が」を用います。
この曲を好きです。
この曲が好きです。
欲しい・必要などの言い方には「が」を用います。
あなたの力を必要です。
あなたの力が必要です。
願望を表す言い方は、「が」を用います。
水を飲みたい。
水が飲みたい。
能力を表す言い方は、「が」を用います。
あの子は逆上がりをできる。
あの子は逆上がりができる。

「先輩は仕事ができる。」

このときの「が」は主語というわけではないことも知っておいてね。

「私はお世辞がうまい。」

……例文なのよね?
