電子キーボードも安かろう悪かろうですかね〜。
んー……主要メーカーはそんなことないと思うわ。品質の高低というより、どういうユーザーを対象としているかで価格差をつけてるっていう印象ね。
1台で歌って踊れるやつがいいんですけど。
それはマイクがあれば十分なのでは?
こんにちは、Yunです!
鍵盤楽器について調べるなかで「安くて良い電子キーボードはどれ?」「コスパの高い電子キーボードを知りたい」と感じていませんか?
そんな悩みをお持ちの方に、こちらの記事では1万円未満〜3万円の予算別でおすすめキーボードを紹介しています!
この記事を読めば安くて高品質な電子キーボードがわかります!
1万円未満で子どもにおすすめの電子キーボード
予算が1万円未満の場合、子どものおもちゃの延長線上として、これからキーボードや音楽に親しむための足がかりとなるような商品が多めです。
子どもの場合、長時間イスに座ってキーボードを練習することが難しい子も多くいます。1万円未満のものはサイズがコンパクトなので、膝の上や床の上など好きなところに置いて気軽に鍵盤に触れることができます。
子どもの細くて弱い指であれば、タッチレスポンス機能は不要ですし、鍵盤サイズもミニ鍵盤で十分です。同時発音数についても、1万円未満のものはサスティンペダルを接続できないものが多く、そうなると最大同時発音数がそこまで多い必要はありません。
つまり、子どもが鍵盤楽器を楽しむだけなら1万円未満で十分良いものが手に入ります。
「子どもが気軽にさわれて、親しみをもちやすいキーボードがいい」と考えるなら1万円未満タイプをチェックしてみましょう。
Casiotone ミニキーボード SA-50
画像のようにどこでも楽しめることをイメージしてつくられているのがSA-50です。幅が44.6cm、重さが1.0kgで持ち運びやすさに特化したタイプであることがわかります。そのぶん鍵盤数は削られていますが、とりあえず鍵盤でドレミを練習してみたいなら十分です。
100音色・リズム50パターンが用意されていますが、子どもがそれをすべて使いこなす必要もないと思います。
むしろ「ピアノ」「トランペット」「ドラム」などわかりやすいボタンが用意されているのが子どもにとってはメリットになっています。ポチっと押していくつかのパターンを試せたら十分じゃないでしょうか。
項目 | 内容 |
---|---|
鍵盤数 | 32鍵盤 |
タッチレスポンス | なし |
最大同時発音数 | 32音 |
音色数 | 100音 |
内蔵曲 | 10曲 |
リズムパターン | 50 |
レッスン機能 | メロディーオン/オフ |
実勢価格 | 7,700円(税込) |
Casiotone ミニキーボード SA-81
旧モデルのSA-76では同時発音数が8音だったのが、本モデルで4倍の32音に増えました。同じCasiotoneのSA-50と似ていますが、鍵盤数が増えているのが特徴です。44鍵あるので、SA-50よりも演奏できる曲の幅が広がっています。サイズアップに合わせて液晶画面も大きく見やすくなっています。
持ち運びやすさなどSA-50と変わらない点も多いのですが、「32鍵盤は少なすぎる」と感じるならSA-81がおすすめです。
項目 | 内容 |
---|---|
鍵盤数 | 44鍵盤 |
タッチレスポンス | なし |
最大同時発音数 | 32音 |
音色数 | 100音 |
内蔵曲 | 10曲 |
リズムパターン | 50 |
レッスン機能 | メロディーオン/オフ |
実勢価格 | 9,460円(税込) |
YAMAHA PSS-E30 Remie
PSS-E30はヤマハが開発した子ども向けミニキーボードです。この価格としてはかなり音が良いと感じられる商品です。
特徴である「HQ mini鍵盤」はピアノのように鍵盤の根元を押さえても音がなるようになっています。他機種では鍵盤の先しか反応しないということもあるので、その点がHQ(ハイクオリティ)というわけです。
特に子どもと一緒に大人も演奏する場合は、手のサイズの関係で鍵盤の奥もきれいに音がなることはメリットに感じやすくなっています。
また、下記スペック表にはありませんが電池が単3 × 4本で駆動するのもポイントです。他社製品の多くは電池が6本必要なので、少ない電池で動くというメリットはありがたい点です。
幅50.5cm、重さ1.2kgでこちらも見ためどおり持ち運びがしやすい機種です。
項目 | 内容 |
---|---|
鍵盤数 | 37鍵盤(HQ mini鍵盤) |
タッチレスポンス | なし |
最大同時発音数 | 32音 |
音色数 | 49音 |
内蔵曲 | 30曲 |
リズムパターン | 28 |
レッスン機能 | メロディーオン/オフ 音当てクイズ |
実勢価格 | 6,750円(税込) |
1万円未満で本格派の電子キーボード
予算が1万円未満の大人向けキーボードもあります。予算の都合上すべての機能をそろえることは難しいですが「内蔵曲やリズムが多いほうがいい」「タッチレスポンスつきがいい」など、大人のユースケースを想定した商品を紹介します。
これから本格的に曲を練習したいなら、もう少し鍵盤数の多いモデルがいいかもね。
Casiotone CTK-240
100の音色、100のリズムパターン、内蔵曲50曲と豊富な収録音源数に特徴があるのがCTK-240です。鍵盤数も49鍵盤と同価格帯のもののなかでは多めで、大人が幅広い曲を演奏する用途に耐えられる商品になっています。
項目 | 内容 |
---|---|
鍵盤数 | 49鍵盤 |
タッチレスポンス | なし |
最大同時発音数 | 12音 |
音色数 | 100音 |
内蔵曲 | 50曲 |
リズムパターン | 100 |
レッスン機能 | メロディーオン/オフ 自動伴奏機能 |
実勢価格 | 9,460円(税込) |
YAMAHA PSS-A50
上述のPSS-E30と同じくヤマハ製であるPSS-A50は、鍵盤も同じくHQ mini鍵盤となっています。ただしPSS-E30との違ってこちらはタッチレスポンス機能つきです。鍵盤を押さえる強弱によって音のニュアンスを変化させることができるので、演奏表現の幅が広がります。
また、子ども向けのPSS-E30とはかなり商品のメイン用途が異なります。PSS-A50はひとことで言えば「どこでも持ち運べる楽曲制作ツール」です。
さまざまなバッキングパターンをつくれるアルぺジエーターや録音したフレーズをループ再生できるフレーズレコーダーなど、創作活動に役立つ機能が搭載されています。
PCとの接続もできます。楽器とパソコンを付属のUSBケーブルで接続すると、音楽制作用ソフトにMIDI曲として録音したり、データ打ち込み用のマスターキーボードとして使うことができます。
項目 | 内容 |
---|---|
鍵盤数 | 37鍵盤(HQ mini鍵盤) |
タッチレスポンス | あり |
最大同時発音数 | 32音 |
音色数 | 42音 |
内蔵曲 | なし ※アルペジオは138 |
レッスン機能 | なし |
実勢価格 | 9,980円(税込) |
2万円未満のおすすめ電子キーボード
2万円未満となってくると、鍵盤数も61に増え、大人も子どもも兼用できるタイプが増えてきます。
1万円未満モデルではできなかったサスティンペダルの接続もできるようになり、演奏の幅も広がりを見せ出します。
タッチレスポンス機能がほぼ標準でついてくるのもこの価格帯からです。ただしタッチレスポンスに関してはピアノタッチの再現度は機種によってばらつきがあります。
そのほかにもこの価格帯についてくることの多い機能にトランスポーズ機能があります。調が違う曲でもつねにハ長調と同じ白鍵・黒鍵の使い方ができるので作曲や音楽理論に関心がある人には便利な機能です。
音は1万円未満のものより良くなっているので、「初期から良い音にふれていたい」と感じるなら1万円〜2万円の予算はほぼ必須になるといえます。
ここでは子ども・大人兼用できるものを紹介するわ。
YAMAHA PSR-E273
PSR-E273は61鍵盤タイプのものでは安価なモデルになっています。タッチレスポンス機能はありませんが、レッスン機能が充実しています。右手3段階・左手3段階・両手3段階の9ステップのレッスンに加えて音感トレーニング用の音感クイズもついています。
特徴であるレッスン機能についてもう少し詳しく書くと、内蔵曲の一部フレーズだけをくり返し聴くことや、左手パート・右手パートのみを聴くことができます。また、タイミングさえ合っていればどの鍵盤を押しても正しい音が鳴る「タイミング」、正しい鍵盤を押さえるまでつづきの再生を待ってくれる「マイペース」などをつかって、リズム感と音感をそれぞれトレーニングすることもできます。
予算を少し増やせば、タッチレスポンス機能つきの上位機種であるPSR-E373もあります。
項目 | 内容 |
---|---|
鍵盤数 | 61鍵盤 |
タッチレスポンス | なし |
最大同時発音数 | 32音 |
音色数 | 401音 |
内蔵曲 | 112曲 |
レッスン機能 | レッスン1~3 (お手本、タイミング、マイペース)、A-B リピート、コード辞書、コードスタディ |
実勢価格 | 15,500円(税込) |
Casiotone CT-S200
CT-S200は把手(グリップ)がついていることが特徴のポータブルキーボードです。
さきほど紹介したヤマハのPSR-E273のライバル機種といえる価格帯・機能で、2機種とも価格に対して優れたパフォーマンスを有しています。
スピーカーサイズはCT-S200が13cm × 2、PSR-E273が12cm × 2となっていてCT-S200のほうが大きくなっています。また、USB端子・オーディオ端子があるのでスマートフォンやタブレットを有線で接続して好きな曲をスピーカーから鳴らしながら演奏することができます。
項目 | 内容 |
---|---|
鍵盤数 | 61鍵盤 |
タッチレスポンス | なし |
最大同時発音数 | 48音 |
音色数 | 400音 |
内蔵曲 | 60曲 |
リズムパターン | 77 |
レッスン機能 | メロディーオン/オフ 自動伴奏機能 |
実勢価格 | 17,000円(税込) |
3万円未満で子どもにおすすめの電子キーボード
予算3万円未満の一部の機種についてくるのが、光ナビゲーション(光る鍵盤)機能です。内蔵曲に合わせて鍵盤が光る機能で、楽譜が読めなくても演奏できるので初心者や子どもに人気となっています。
また、光ナビゲーション機能つきの機種は演奏レッスン機能に強みをもつものが多く、子どもにはじめて買うキーボードとして(予算に余裕があれば)おすすめしたいモデルです。
サイズは大きいので、レッスン機能よりも手軽さ・持ち運びやすさを重視するなら1万円未満のモデルのほうがいいかもしれません。
レッスン機能が特に充実しているのが光る鍵盤モデルよ!
YAMAHA EZ-300
EZ-300はヤマハの現行モデルで唯一光る鍵盤機能つきの機種です。
200曲以上の内蔵曲があり、レッスン機能を使って右手パートだけを練習できる曲と、両手演奏(右手パートと左手パート)を練習できる曲があります。
PSR-E273と同じく、タイミングさえ合っていればどの鍵盤を押しても正しい音が鳴る「タイミング」、正しい鍵盤を押さえるまでつづきの再生を待ってくれる「マイペース」をつかってリズム感と音感をそれぞれトレーニングすることができます。
「コードスタディ」「コードプログレッション」は和音やコード進行について練習できる機能です。子どもだけでなく大人が音楽理論を感覚的に理解するのにも役立ちます。
項目 | 内容 |
---|---|
鍵盤数 | 61鍵盤 |
タッチレスポンス | あり |
最大同時発音数 | 48音 |
音色数 | 622音 |
内蔵曲 | 222曲 |
レッスン機能 | ライトガイド ソングマスター、レッスン1~3 (お手本、タイミング、マイペース)、フレーズ練習、A-B リピート、コード辞書、タッチスタディ、コードスタディ、コードプログレッション |
実勢価格 | 25,400円(税込) |
Casiotone LK-325
EZ-300のライバル機種がカシオの本モデルです。
基本的な機能面はEZ-300とほぼ差はありません。音色数・内蔵曲数はEZ-300より少ないですがそもそも子どもが数百の音色・曲をすべて使いこなすかは微妙なところです。大半の子どもはいくつかの気に入ったパターンをくり返しつかう気がします。
LK-325の大きな特徴はマイクが付属している点です。LK-325はキーボードも弾けて歌もうたえる、という弾き語りアーティスト体験ができます。
「楽譜も読めないのに、いきなり歌って弾くなんてムリ」と感じた人も、大丈夫です。「らくらくモード」をONにすれば曲の再生中どの鍵盤を押さえても正しい音がなります。まだなにも弾けない初心者でも、とりあえずタイミングを合わせて鍵盤を押さえれば購入した初日から弾き語りアーティスト気分を味わうことができます。
項目 | 内容 |
---|---|
鍵盤数 | 61鍵盤 |
タッチレスポンス | あり |
最大同時発音数 | 48音 |
音色数 | 400音 |
内蔵曲 | 120曲 |
リズムパターン | 50 |
レッスン機能 | 光ナビゲーション ステップアップレッスン、レッスンパート(右手、左手、両手)、運指音声、採点機能、ドレミナビ |
実勢価格 | 25,300円(税込) |
3万円未満で本格派の電子キーボード・電子ピアノ
予算3万円未満ともなると、低価格モデルと比較してキーボードの音質がはっきり違うものが増えてきます。これはスピーカーの違いもあるのですが、そもそもの録音音源が上質なものになっていることの差が大きくでます。
このあたりの価格帯から、主要メーカーの電子ピアノも登場しだします。
電子キーボードと電子ピアノはどちらが優れているというものではありません。同じ価格帯であれば、キーボードとしての多機能性を追求するか、ピアノ演奏の再現を追求するかの差になります。
電子ピアノの相場はもう少し上なのですが、ここではコストパフォーマンスに優れたものを紹介します。
YAMAHA PSR-E373
PSR-E373は姉妹機種であるPSR-E273の上位互換的存在です。
大きな違いのひとつめはタッチレスポンス機能がついたことです。これによってタッチの強弱による表現の練習もできるようになりました。
またE273になかった追加機能もあり、ドミソを押さえるだけで自動でアルペジオ(分散和音)が鳴る「オートアルペジエーター」、スマホやタブレット等から流している曲のボーカルパートだけ音量を小さくできる「メロディーキャンセル」などは鍵盤楽器上達においてかなり役立ちそうな機能です。
さらに上位機種となるPSR-E473も存在しているのですが、実勢価格3万円オーバーのため今回は紹介を省略しています。
項目 | 内容 |
---|---|
鍵盤数 | 61鍵盤 |
タッチレスポンス | あり |
最大同時発音数 | 48音 |
音色数 | 622音 |
内蔵曲 | 154曲 |
レッスン機能 | ソングマスター、レッスン1~3 (お手本、タイミング、マイペース)、フレーズ練習、A-B リピート、コード辞書、タッチスタディ、コードスタディ、コードプログレッション |
実勢価格 | 20,000円(税込) |
YAMAHA NP-15
NP-15はヤマハの電子ピアノブランド「Piaggero(ピアジェーロ)」のエントリーモデルです。
音色数は電子キーボードと比べると少ないですが、ヤマハのグランドピアノからサンプリングした高品質なピアノ音色を収録しています。
USB to HOST端子があるので、MIDIキーボードとして使用することも可能です。
項目 | 内容 |
---|---|
鍵盤数 | 61鍵盤 |
タッチレスポンス | あり |
最大同時発音数 | 64音 |
音色数 | 15音 |
内蔵曲 | 25曲 |
レッスン機能 | |
実勢価格 | 25,000円(税込) |
Roland E-X10
ローランドのいわゆる電子キーボードを「アレンジャーキーボード」としてブランディングしており、そのエントリーモデルがこのE-X10です。
601音色、伴奏207パターン、140曲収録とスペックは申し分ありません。
他社製品との差を感じる特徴は、マイク接続端子があるところです。弾き語りが可能になりますし、マイクにはエコー・リバーブをかけられるのでカラオケのように響かせた歌声を出すことができます。
ローランドらしい、ややロックな見ためをしたデザインも特徴といえるでしょう。
項目 | 内容 |
---|---|
鍵盤数 | 61鍵盤 |
タッチレスポンス | 3段階、固定 |
最大同時発音数 | 64音 |
音色数 | 601音 |
アレンジャースタイル | 207 |
内蔵曲 | 140曲 |
レッスン機能 | 自動伴奏機能 |
実勢価格 | 26,400円(税込) |
Roland GO:PIANO88
予算3万円未満で電子ピアノを探している場合にダントツでおすすめなのが本モデルです。
88鍵盤、タッチレスポンスあり、同時発音数128音、しかもBluetooth接続対応とピアノ練習に必要な基本スペックがすべてそろってこの価格というのは驚くほかありません。
88鍵盤にこだわりがあって品質はそこそこ、価格はおさえめがいいというニーズをお持ちの方であれば、ほかに選択肢はないといってもいいかもしれません。
項目 | 内容 |
---|---|
鍵盤数 | 88鍵盤 |
タッチレスポンス | 3段階、固定 |
最大同時発音数 | 128音 |
音色数 | 4音 |
内蔵曲 | 10曲 |
レッスン機能 | なし |
実勢価格 | 29,800円(税込) |
3万円ギリギリオーバーでおすすめの電子キーボード・電子ピアノ
2023年時点で実勢価格が3万円をややオーバーしているものの、優れた製品なので知ってほしい、というものを紹介します。
Casiotone CT-S1
CT-S1はカシオの電子キーボードのスタンダードモデルです。CT-S1か下位モデルかで演奏性・音質の差がわりと大きいので、コストパフォーマンスに優れた製品といえます。
演奏性の面では、象牙調の鍵盤で質感が下位モデルよりも上がっていること、打鍵感も向上していることが特徴です。キーを押し込んで戻るときの感覚が、よりピアノに近いものになっています。
音質面では、音質の向上した「AiX音源」を収録し、スピーカーも立体的に音を広げられるものに進化しています。
音色数、内蔵曲数、ボタンなどを減らして演奏性・音質を追求した本モデルは、シンプルでクオリティの高いものを求めている方にマッチした製品となっています。
項目 | 内容 |
---|---|
鍵盤数 | 61鍵盤 |
タッチレスポンス | 3種類、オフ |
最大同時発音数 | 64音 |
音色数 | 61音 |
内蔵曲 | 11曲 |
レッスン機能 | なし |
実勢価格 | 30,800円(税込) |
電子キーボードの比較ポイント
【番外編】打鍵感
アコースティックピアノはふつう低音部の打鍵感が重く、高音部の打鍵感は軽くなっています。また、ハンマー機構によって鍵盤を押さえたあと指を離すときに、鍵盤が指に吸いついてくるような「戻り」があり、この戻りのよさがピアノの弾きやすさにもつながっています。
電子キーボードは内部にハンマーをもたないため、安価なものの多くは鍵盤の感触が軽く、跳ねかえるような鍵盤の戻りはありません。
ただし、なかには低音部を重く、高音部を軽くすることでピアノの打鍵感に近づけているモデルもあります。
タッチレスポンス
電子キーボードのタッチレスポンス機能とは、鍵盤を押さえたときの力の込めぐあいで音の強弱を変化させられる機能です。
タッチレスポンス機能がないモデルでは、鍵盤の押さえ方による音のニュアンスの変化を生むことはできません。つまり、ピアノ的な演奏表現のかなり重要部分が欠けることになります。
タッチレスポンス機能があれば、演奏による表現力の幅が広がることになります。
最大同時発音数
同時発音数とは、一度に同時に出せる音の数のことです。電子キーボードでは64〜128音が一般的です。ただし、本格的なクラシックを演奏したい場合は192〜256音(または無制限)のものがおすすめです。
五線譜をイメージできる方ほど「同時に64音も出すことなくない?」と思われるかもしれません。その通りというケースもあるのですが、問題はこの同時発音数は鍵盤を押さえている指の数ではないという点です。
電子キーボードの鍵盤を1つ押さえると、左右のスピーカーから音がでます。音数はスピーカーの数でカウントされるので、この時点で2音を発音していることになります。10本の指で押さえれば20音です。ただし、まだ64音で十分余裕があります。
音を伸ばすためのサスティンペダルを使用すると、ペダルを踏んでいるあいだいくつも音を重ねることができます。同時発音数が問題になるのはこのときです。
クラシックではサスティンペダルをつかってトリルや同音連打などの音を重ねる奏法をおこなうことが多々あります。また、2人で連弾をすれば必要な発音数も2倍になります。これらの理由から、本格的なクラシック演奏には多めの発音数が必要になります。特に、サスティンペダルを多用するテンポが速めのクラシック曲は少ない発音数では演奏できません。
反対に、そのように音を重ねる奏法を多用しないポピュラーミュージックでは、同時発音数は64音で十分、ということになります。
今回紹介したもののなかには64音未満のものも多いのですが、その場合もサスティンペダルを使用しないレベルであればあまり関係ありません。
電子キーボードと電子ピアノの違い
電子ピアノはアコースティックピアノ(グランドピアノ)の音をデジタルで再現した楽器です。ピアノの音を再現することに特化しており、鍵盤のタッチ感やピアノの音色には力を入れています。反面、ピアノ以外の音は種類が少なく、オマケ程度のあつかいのものが多くなっています。また、電子キーボードよりも価格帯が基本高めです。
電子キーボードはさまざまな音色を出せることや、収録楽曲などに力をいれているものが多くなっています。サイズもコンパクトなものから大きめのものまで選べます。
ただし電子キーボードと電子ピアノの違いはあまり浸透しておらず、混同されやすい用語といえます。
電子キーボードも電子ピアノも、どちらも電子鍵盤楽器であることは同じであり、見た目上の違いはありません。アマゾンなどのECサイトでも検索にヒットしやすくするために商品名の横に「電子ピアノ 電子キーボード」など並列して書いてあるのも、よけいにややこしくしている感じがあります。
電子鍵盤楽器の表示に関する規則によると、商品の呼称に「電子ピアノ」「デジタルピアノ」と名乗るには本来鍵盤が「一段のピアノタッチ」であることがポイントとなっており、ピアノタッチを再現していれば電子ピアノ、そうでなければ電子キーボードという分類はここに由来しているようです。
電子キーボードと電子ピアノの違いはこちらの記事でも解説しています。
電子キーボードとシンセサイザーの違い
シンセサイザーの「Synthesize」とは「合成する」を意味する動詞で、その名のとおり音を合成して自由に新しい音や楽曲をつくることを目的とした楽器・機器のことです。
見ためが電子キーボードに似たものも多く、こちら違いがわかりにくくなっています。シンセサイザーは鍵盤があるものが主流ですが、鍵盤がなくても音の合成ができるならシンセサイザー、ということになります。ソフトウェアシンセサイザーといって、DTM用の音作りソフトも広義のシンセサイザーに含まれています。
鍵盤があるタイプのシンセサイザーと電子キーボードの主な違いは、音色の種類とスピーカーの有無といえます。
電子キーボードも音色の種類が豊富だと述べましたが、シンセサイザーはそれよりもさらに高度な音作りが可能になります。作曲に用いられることも多く、特殊なサウンドエフェクトのような音も自由につくることができます。
また、シンセサイザーはスピーカーが内蔵されていないのがふつうです。そのため音を出すためにはヘッドフォンや外部スピーカーと接続する必要があります。
プロのバンドでキーボード担当者が演奏しているものの多くはシンセサイザーです。そのため、本格的にバンド音楽をしたい人はシンセサイザーを購入することが多くなりますが、高価なものが多いため趣味や部活動レベルであれば電子キーボードで代用することもあります。
「88鍵盤ないと足りない」は本当?
電子キーボードを検討する際に悩ましいもののひとつが鍵盤数です。「鍵盤数は多いほうがいい」ということもよく聞かれますが、それは本当なのでしょうか。
結論をいうと、クラシック曲を演奏するなら88鍵盤はほぼ必須、ロックやポップスが中心なら61鍵盤でほぼ問題ありません。
クラシック曲では、88鍵盤がないと弾けない曲がほかのジャンルより圧倒的に多くなります。
アコースティックピアノはすべて88鍵盤でできており、本格的なクラシック曲はピアノの音域を最大限発揮するように書かれた曲がほとんどです。初心者のうちはそこまで難しい曲を弾かないので音域の狭い曲を練習すると思いますが、2〜3年もすれば88鍵盤がないことによるデメリットを大きく感じることになってしまいます。
ちなみに、ピアノ初心者がよく練習する「エリーゼのために」でも最高音を出すためには68鍵盤が必要になります。
ロックやポップスではキーボードがそこまで幅広い音域を担当することが少ないので、演奏のメイン部分は多くの場合61鍵盤で十分です。楽曲によっては61鍵盤では足りなかったり、曲のラストなどで低音をゴーンとならすときに61鍵盤では低さが足りなかったり、ということはありますが、アレンジでカバーできる範囲といえます。
ただし「ロックやポップスでは」とジャンルでくくると例外もあり、ピアノ的要素を強くもつ曲では音域が足らないこともあります。
まとめると、88鍵盤あれば安心なことは間違いありません。しかし「88鍵盤ないと足りない」というケースは限られているので、クラシック演奏以外が目的であれば61鍵盤で検討すればよいと思います。
「今後かんたんなクラシックなら弾きたくなるかも」という人には76鍵盤など、中間的な鍵盤数のものもおすすめです。
ちなみに、61鍵盤未満のものは1曲を弾き通す、という目的ではおすすめしません。