モンテッソーリ教育では環境づくりが大切と聞いたのですが?
そうね。モンテッソーリ教育は「環境が子どもを育む」という理念から、知育や発達のために計算された環境づくりを実践しているわ。
壁中に九九や漢字のポスターを貼るとかですか?
そういうことではないのよ。整理されたレイアウトや手に取りやすいものの配置で、子どもがのびのびと発育できる教室をつくっているの。
こんにちは、Yunです!
幼児教育について調べるなかで「モンテッソーリ教育の環境づくりって?」「自宅でも再現できるの?」と疑問に感じていませんか?
そんな疑問をお持ちの方に、こちらの記事ではモンテッソーリ教育における環境の特徴を解説しています!
この記事を読めばモンテッソーリ教育の環境づくりの特徴がわかります!
モンテッソーリ教育の基本理念
モンテッソーリ教育は子どもが主体的に学ぶようにすることを目的とした教育手法です。
この教育法を考案したイタリアのマリア・モンテッソーリは、子どもは自ら選ぶことによって主体的に学習するようになるという理念を自身の教育の根本としていました。
そして、主体的な選択をおこなわせるためには彼女が「準備された環境」と呼ぶ、教育に特化した環境づくりが重要であると考えました。
「科学的観察により、教育は教師が与えるものではないことが証明されました。教育は人間個人によって自発的に行われる自然なプロセスであり、言葉を聞くことによってではなく、環境での経験によって獲得されます。」
マリア・モンテッソーリ『新しい世界のための教育』
モンテッソーリ教育とはなにか? についてはこちらの記事でくわしく解説しています!
モンテッソーリ教育の環境設定
モンテッソーリ教育における教室は、子どもの学習と成長を最大限に高めるために細心の注意をはらって設計されています。
マリア・モンテッソーリは教室が子どもたち主体の場となるように6つの原則を提唱しました。
自由であること
自由とは、選択・移動・交流の自由をさします。子どもたちは誰と一緒に学びたいか、なにを学びたいかを自分で選択することができます。
これには、室内のものがすべて子どもサイズになっていることが重要です。
モンテッソーリの教室では棚はすべて子どもが届く高さになっていて、取り出しづらいおもちゃはありません。すべてのものに対して、子どもがしたいと思ったときにアクセスできる環境を整えています。
マリア・モンテッソーリは「環境を整えることの第一の目的は、可能な限り成長期の子供を大人から独立させることです。」と述べました(『幼児の秘密』より)。
また、モンテッソーリの自由は「なんでもあり」ではないことも重要です。子どもたちを放任するのではなく、教室には守るべき基本ルールが存在し、選ぶときにはいくつかの選択肢が与えられます。
秩序があること
モンテッソーリの教室には、自由と同時に秩序があります。ものはバラバラに配置されているのではなく、かならず元に戻すべき場所があり、子どもたちはどこに行けばなにがあるのかを理解することができます。
このような秩序や行動のルーティーン化は子どもに安心を与えます。子どもはなにかをしたいときに自信をもってものを取りに行ったり片付けたりすることができます。
子どもは教室に存在する構造を内面化することで、自然界のシステマチックな構造も理解することができます。具体的には、教室に作業用のスペース、絵本棚のスペース、食事のスペースなどの決まりが存在することから、外の環境でもそこがどんな場所かを理解しやすくなります。
秩序とは、環境との関係においてそれぞれの物の位置を認識し、それぞれのものがどこにあるべきかを思い出すことにあります。……このような環境は平和と幸福のために必要です。
マリア・モンテッソーリ『幼児の秘密』
美しいこと
モンテッソーリの教室は、色味や質感、レイアウトにも配慮されています。
置かれている家具は天然素材でつくられ、掲示物や絵は専用のスペースに整理されて展示されています。
多くの教室は採光量が多く、観葉植物が置かれ、まるで自宅の広いリビングのような環境となっています。
本物を用いること
モンテッソーリの教具(モンテッソーリ教育における教材・道具)は木製のものが多いことで有名です。これは、子どもが触れるものに自然界のものを取り入れようとする理念からきています。
ほかにも、イラストではなく写真を用いること、プラスチックではなくガラスや陶器の食器を用いることが特徴です。
「割れやすい食器で大丈夫?」と感じるかもしれませんが、ここには子どもが物を丁寧にあつかうことを覚え、食べながら遊ぶことが減るというメリットがあります。
社会性があること
モンテッソーリの教室は、子どもが社会を学ぶ場としても設計されています。
前述のとおり、教室はまるで自宅のようなインテリアで構築されています。これには、子どもが安心して過ごせることで社交的になりやすくするという意図もこめられています。
子どもは落ち着いた環境で自由に移動し、異年齢の子どもと交流します。そうすることで情緒と社会性を伸ばせる環境になっています。
知育環境であること
これはここまでの5つの原則をすべて含めた原則です。つまりモンテッソーリの教室は、最高の知育環境でなくてはならない、ということです。
モンテッソーリ教育は子どもの情緒、社会性、主体性を育みます。これらはすべて知性に含まれる概念であり、綿密に設計された環境によって促進される能力です。
モンテッソーリ教育においては、教室は教師と同じく子どもを知的に導く存在となります。
「子どもたちは環境の中での経験を通じて知識を獲得します。」
マリア・モンテッソーリ、1946年のロンドン講演
環境づくりの重要性
モンテッソーリ教育の環境づくりをまねることは、以下のメリットがあります。
また、次のような環境は問題のある環境とみなされます。
環境構成は自宅でもできる
ここまで紹介したモンテッソーリ教育の環境づくりのコンセプトは、自宅でも再現することが可能です。
筆者の経験からも特におすすめしたいのは以下の点です。
子どもサイズの棚を用意する
絵本棚やおもちゃ箱・おもちゃ棚などは子どもが特に関心をもつ場所です。
わが家ではこれらを手の届く場所にすると、はじめのうちは散らかし放題になりましたが、ある程度期間が経つと出した絵本やおもちゃを自分で片付けられるようになりました。
一部の心配なものは子どもが手の届かない場所に置いていますが、そういったものは子どもの関心も薄れていっているように感じます。やはり、いつでもアクセスできる環境が子どもにとっては大切なのだと感じます。
また、子どもが「お遊び – お片付け」などの自分のルーティーンをもつことは認知能力の発達にも効果的であることが知られています。
自然や美を感じられるものを置く
子どもの情緒面の発達のために、音楽・絵画・自然の美に小さいうちからふれされることは大切なことです。
自宅でも寝る前にクラシック曲をかけたり、色彩あふれる絵画を飾ったりすることは可能です。
わが家では食卓に花を飾るようにしています。花は子どもにとって親しみやすさがあり、花をかえるたびに「このお花はなんて名前なの」「○○色のお花だね」などと興味をもって見ています。
花はサブスクリプションを活用すれば、割安でいろいろな種類の花が届くのでおすすめです。